府立東宇治高校(野村康隆校長)で、1年生「総合的な探究の時間」において、地域の職業人を招いた特別講座が行われた。生徒たちは、外部講師の話に耳を傾けながら、2学期以降のグループセッションに向けて職業理解を深めた。
これまでの講座では「地域の課題」がテーマだったが、実社会に対する職業人の思いを生で聞いて直に質問を投げかけることを通じて、社会に存在する様々な課題を自分事として考える契機としてもらおうと企画された。
14日の講座では、民間企業やNPO法人の代表など7人が講師で来校。このうち、宇治市槇島町「京野菜いのうち」代表の井内徹(あきら)さんは、認知症の人の就労やNPOとコラボした食育など自社の多角的な展開に触れつつ「持続可能な農業」をキーワードに講演を行った。
自動車整備業から転職し、実家の米農家を継いで8年目になるという井内さん。
栽培している万願寺トウガラシなどの作物を挙げながら「農作物は市場の価格に左右され、供給が多いと価格は下がってしまう。しかし、丹精込めて育てた野菜を簡単に安売りしたくない」と生産者の実情を語った。
農業について「きつい・汚い…というイメージがあるが、決してなくならない職業だし、特に京野菜に関してはそう。傷ついたりするとアウトなので(機械よりも)手作業にメリットがある」「生産者は作るだけで精一杯で、営業(販路の開拓)まで手が回らないことが多いが、持続可能ということを考え、しっかり営業して説明するようにしている」とポリシーを述べた。
質疑応答の時間で、生徒から仕事のやりがいや効率性について尋ねられると「お客さん、そして従業員の喜びが、やりがい。効率よく仕事を進めるために、大型機械を買うこともそうだが、経営者として、一緒に働いている人が過ごしやすくなるような方法を考える」と答えた。