奥田市長〝勇退〟正式発表/城陽市
次期市長選への不出馬を表明する奥田敏晴市長

城陽市の奥田敏晴市長(79)は23日、市役所内で記者会見を開き、3期目の今任期末(9月24日)で退任することを正式発表。単身で会見に臨んだ奥田市長は「3期、80歳の区切りがベスト。市長1期目から年齢的なことを考えて(再選できれば)3期目で…と決めていた」と心境を明かした。進退会見のため、後継市長候補には深く触れなかったが「適任者との思いを持った人はいる。国政と違い、市政は、政党が対立するとうまく進まない」と発言。自身を支えた自民・公明・立憲民主3党と、市議会与党で統一会派を組む国民・維新が相乗りできる後継者が決まれば「また、このような場を設けたい」とも語った。
奥田市長は、寺田小、城陽中、府立城南高校を経て、京都教育大学を卒業。その後、大阪市立大学大学院修士修了し、学習塾「崇文館」の塾長や幼児園「明輪学園」の園長を経て、1999年4月の府議選で初当選。自民党府議を4期14年余り、京都府と城陽市をつなぐパイプ役を担った。さらに、12年前の2013(平成25)年9月の市長選に無所属の立場で立候補。当時の現職市長に対しダブルスコアの圧勝劇で初当選を飾り、市議会で一部議員とぶつかることはあったが比較的、安定した市政を継続。3期目の現在は、府市長会長も務めている。
会見で奥田市長は「今期をもって市長職を退任させていただきます。次期市長選には出馬しないことを、この場で報告させていただきます」と切り出し、報道各社に丁重にお礼の言葉も添えた。
6月11日の記者会見で「翌12日から7月23日の間に進退表明をさせていただく」と述べ、その最終日に発表した理由について、奥田市長は①参院選、府議補選城陽区があったこと②市議会開会中に発表すると様々な問題が発生し、迷惑をかけるおそれがある…との判断からだったことを説明。「その全てをクリアする本日がベスト」と述べた。
本紙の23日付報道を経て、この日午前9時30分からの庁議で部長以上の幹部に初めて、自らの口で「今期限りでの辞意」を伝え、記者会見に臨んだ奥田市長。
新名神「大津~城陽」の開通を前にした市長辞任には「まち自体は今後、大きく飛躍する。これは間違いない」と自信のコメント。
これまで一貫して市政運営では、希望あふれ、誰もが輝く「NEW城陽」を推進。新名神開通を起爆剤とした東部丘陵地の長池・青谷先行整備地区に府内初のアウトレットモールや将来の自動運転を見越した次世代型基幹物流施設を誘致など、国や府との太い人脈を生かして活気あるまちづくりに力を注いだことを振り返った。
ただ、新名神開通後のまちづくりによる法人税、固定資産税が入るまでは、市財政は綱渡り状態。市長本人も熟知しており「9月までまだまだあるので、現時点でやり遂げた実感はありません」と話した。
「笑顔。明るく楽しいまちづくり…を夢みて今日まで市長職を務めていた」と言い、気力は衰えないが、体力は「年齢と共に皆さんも実感されている通り」とほほ笑んだ。健康面では、昨年9月に大腸がんの手術で市議会本会議を1日欠席したが「今は完治し、(医師の)先生から大丈夫のお墨付きを得ている」と話した。
次期市長選=市議補選(欠員3)とダブル選挙=の日程は、すでに「8月31日告示、9月7日投開票」と決まっており、30日(水)には、市選管による立候補予定者説明会が開かれる。市政転換を目指す共産党などが参画する市民団体「みんなの城陽」が対立候補擁立を明言する中、ポスト奥田の動きに注目が集まりそうだ。