いよいよ掘削「ナトム工法」/新名神・宇治田原トンネル
1日600本のダイナマイトを仕掛けるドリルジャンボが出番を待つ

新名神高速道路「宇治田原トンネル」の掘削工事が、いよいよ始まる。
同町内を走る新名神の延長距離は約5・7㌔。そのうち2㌔近くがトンネルで、この事業の山場とも言える。
岩山地区から掘り進む「東工事」から始まり、戸田建設㈱が施工。その後を追うように郷之口の蛍橋付近から「西工事」がスタートし、こちらは鹿島建設㈱が工事にあたる。
トンネルの長さは名古屋方面へ向かう上り線が1983㍍、下り線が1923㍍。
まずは上り線の掘削が双方から始まり、レーザー測量などにより進行。中間地点でドッキングする。
工事手法は「ナトム工法」と呼ばれるもので、最新鋭の「ドリルジャンボ」でトンネルの円周に約150個の穴を開けていき、そこにダイナマイトを差し込んで爆破。
崩れ飛んだ岩や土砂を外部へ排出し、掘削部分にコンクリートを吹き付けて迅速に硬化させる。
そのあと、山とコンクリートを固定する「ロックボルト」を、トンネル中心部から放射状に穴を開けて、まるで「ハリネズミ」の背中のように、岩盤の奥深くまで打ち込む。
トンネル壁面と地山の保持力が一体となって、強度を得るというもので、この作業を繰り返す。
工程表によると、日曜以外の週6日間、2交代制で24時間の連続作業。発破は東西工事とも1日4回の予定で、双方を合わせると1週間で約7000本のダイナマイトを爆破させる。
これでも貫通するまでの工期は約3年という大きな事業。東工事を担当する戸田建設の契約額は、周辺工事も併せて71億3124万円となっている。

■騒音振動に最大限の配慮/宇治田原トンネル工事の安全祈願

西谷町長と西日本高速道路の西谷所長が鍬入れの儀

新名神「宇治田原トンネル」東工事の掘削口では4日、安全祈願祭が執り行われた。
禅定寺から岩山にかけて造られた巨大な「滑り台」のような工事車両道を上ったところに式場が設けられ、工事関係者はもとより町、町議会、商工会の森田市治会長、区長会の大西三千夫会長・下司薫禅定寺区長・利田雅孝岩山区長らがズラリと参列。神事で工事の無事を祈った。
そして、西日本高速道路㈱関西支社・新名神京都事務所の西谷誠之所長が、事業概要と現況を報告した上で「騒音、振動等にも最大限の配慮をしながら、一日でも早い貫通を目指したい」と挨拶。
西谷信夫町長は「住民の安心安全の確保と地域経済の発展につなげていける道。町内にできるインターチェンジにより、にぎわいの創出も期待できるなど、本町に無限大の可能性をもたらすものです」と感慨深げに語り、谷口整町議会議長も「関係各位のご尽力、住民の粘り強い活動により、建設凍結解除が決定された際には、心の底から安堵しました」と、開通の日に思いを馳せた。