木津川の久御山町佐山と八幡市上津屋に架かる通称・流れ橋(上津屋橋、全長356・5㍍)は、昨年10月に台風の増水で橋板が流されて以来、通行止めが続く。橋と周辺の「浜茶」の茶園が織り成す景観は、日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」の一つでもある風光明媚な観光スポット。府は、ゴールデンウイーク(GW)に間に合うよう4月中の工事完了を目指し、復旧にあたっている。
流れ橋は昨年10月12日午後7時30分ごろ、台風19号による木津川の増水で橋板が外れているのが確認された。当時の水位は、上流にある京田辺市の飯岡水位観測所で約4㍍。橋板は橋脚とワイヤでつながれており、流失はなかった。
増水で一定水位に達すると自然に橋板が浮かび、下流側に流されることで被害を抑える構造。1953(昭和28)年の架設以来、2016年3月に「流れにくい」構造に架け替えられるまで、60年間で21回流出した。
橋は架け替え時、橋面を従来から75㌢かさ上げしたり、橋脚の間隔を広げたりするなど工事が施され、流出頻度の抑制に効果を得られた。しかし、近年の豪雨の影響には抗えず、新たな橋になって以降、17年10月に続いて2回目の長期「通行止め」となった。
復旧工事では、引き上げた橋板の架け直しや割れなどの補修、橋脚の一部修繕などを行っている。降雨で木津川の水位が上昇すると中断する必要があるため、雨とにらめっこ。
工事の現状について、橋を管理する府山城北土木事務所は「仕上げの段階に入りつつある。できるだけ早く完了させたい」と説明。順調にいけばGWまでの復旧が見込まれ、早期の通行再開に向けて現場作業を進めている。