城陽高校サッカー部が、クラブ活動に試合分析アプリを取り入れ、選手自らが考える力を養っている。新型コロナウイルス感染拡大防止の休校でクラブ活動を休止する中、新たなツールで選手たちが主体性を伸ばし、指導者やチームメイトとのつながりを深めている。
静岡県浜松市のスポーツアプリ開発ベンチャー「SPLYZA(スプライザ)」が手掛ける「SPLYZA Teams」。
映像をチーム全員で共有し、練習ノートのように動画へ振り返りを書き込むことができるのが特長。スマートフォンやタブレット端末などでいつでも確認できる。サッカーやラグビー、バスケットボールなど8種以上のスポーツで、学生年代からプロのクラブまで全国340以上のチームが導入している。
城陽高校では、講習会で芝山宇光監督がスプライザを知り、昨年11月から取り入れた。
同校は昨年度の公式戦や練習試合、紅白戦の映像を部員たちが分析。「右サイドのスペースに〇〇がもっと早いタイミングで走ってきたらいいと思う」「カウンターで〇〇が前向いた時、左サイドのスペースが空いているのでそこに走り込めるようにしたい」などと書き込んだ。
芝山監督は「最初はよそよしいコメントだったけれど、自分で言葉を発することで個々のハードルが高くなり、主体的な子供を育てるツールになった」と手応えをつかむ。
スプライザは、プレーや選手別に「タグ付け」ができるため、シュート成功率などグラフ化された集計データで各選手の特徴をつかみ、ゲームメイクにすぐ反映できる。
今回の休校期間中に活用幅の広さを発揮。部員はフィジカルトレーナーによるエクササイズの動画で個々に体を鍛えたり、米国の経営学者ピーター・ドラッカーの著書の抜粋を読んでサッカーに当てはまることをコメントしたりし、体力維持や心の教育にもつながった。
「顔は見えないけれど、つながっている」と芝山監督。「自分の意見を持って主体的に物事を考える力を、別のステージでも使ってほしい」と新たなツールの相乗効果に期待を込める。