2009年に女子プロ野球リーグが誕生して以来、女子硬式野球の人気が上昇している。宇治市槇島町の京都文教短大・大学(平岡聡学長)では来年4月、京滋の大学で初となる「女子硬式野球部」を設立する。総監督に、京都市出身の元女子プロ野球選手・小西美加さん(37)が就任。野球を愛し、女子選手がプロとして活躍する環境づくりに向け、関係者たちが力を合わせる。
近畿エリアで女子硬式野球部があるのは、大学・短大では大阪体育大、桃山学院教育大の2校。高校では履正社高校(大阪)など8校。
京都には4つの高校(福知山成美、京都外大西、京都両洋、京都明徳)で女子硬式野球部があるが、短大・大学にはない。今回の野球部創部により、増加する競技人口の受け皿としての役割が期待される。
12日に開いた記者会見では、平岡学長が「女子野球部のある高校と、野球経験を生かした就職先企業との共生(ともいき)を実現し、その中からプロやクラブチームで活躍する人材育成を目指したい」と挨拶した。
入部に関しては、まず短期大学に入学し、保育士や栄養士の資格を取って人生の基盤を作った後、京都文教大学へ編入して4年間野球に打ち込んでもらうことをメインに考えているという。短大で卒業を終える学生には、就職のほかプロ入りなどの進路も提示し「スポーツに打ち込みながら資格に強い短大で将来に備えよう」という指導を行う。
総監督に就任する小西美加さんは、北嵯峨高校と龍谷大学短大時代にソフトボール部に所属。後に、大阪の硬式野球クラブチーム「BLESS」の創設に携わり、プロチーム「京都フローラ」などでも大活躍。女子野球ワールドカップに3度出場し、うち2回で金メダルを獲得した。
今回の就任は、高校の時にお世話になった先生から電話で連絡があったことがきっかけで「昨年まで10年間女子プロ野球選手としてプレーを続けてきたが、地域と野球界に恩返しがしたいと思っていたところに話を頂いた」という。
記者会見で、小西さんは「これまで選手兼コーチの経験しかないため、私自身の挑戦」「走塁力の高いチームを作りたい。野球を通じて学びにもプラスになるようなことを目指したい」と意気込みを見せた。
また、小西さんは「野球をしていると資格取得の機会を逃してしまうという声を聞いた。こちらの野球部で、両方が実現できると思う」「高校で野球を辞めてしまう学生もいるので、いい形で受け入れることができるんじゃないかとワクワクしている」と話した。