新型コロナウイルス感染防止のための移動自粛要請を政府が全国で解除し、最初の週末となった20日、地元の観光地・宇治は家族連れや若者でにぎわった。コロナ禍以前の人出には届かないものの、観光関係者も明るい兆しを喜びつつ、感染防止へ気持ちを引き締めた。
この日、JR宇治駅に京都方面からの列車が到着すると、カメラを提げたグループやカップル、グループ旅行の乗客らが次々に改札を通り、観光スポットに足を運んだ。
宇治橋通りや県通りは渋滞し、近隣の「大阪」「滋賀」のほか、「神戸」や「姫路」、遠くは「福井」「湘南」ナンバーの車も見られた。
平等院表参道も人々の往来で活気づき、観光客が茶店で新茶を選んだり、ソフトクリームなどを買い求めて涼を楽しんだりした。
世界遺産の平等院では、正門前の拝観受け付けに長蛇の列ができた。
宇治川中洲の府立宇治公園では弁当を広げて昼食をとり、散策を楽しむ家族連れも。
宇治川右岸では、天ヶ瀬ダム方面からウオーキングし、「ゴール」の目的地を目指すグループの姿もあった。
京阪宇治ビル1階の京阪宇治駅前観光案内所では、併設されている宇治観光ボランティアガイドクラブ(片山俊昭代表幹事)の事務所にガイド3人が詰めた。
同クラブは、JR宇治駅前ゆめりあ・うじから4月12日に事務所を移転。新型コロナ感染防止のための活動自粛期間を経て、来月予約が入っている兵庫県内の高校や大阪府内のグループなどの案内に備える。ガイドも「『やっと』という感じ」と声を弾ませ、この間の自主学習の成果を発揮しようと張り切る。
事務所に詰めていたメンバーの1人、波利和雄さん(72)は「宇治の良い所に愛着を持ち、喜んで帰ってもらいたい。そして『楽しかったな』と、また来てもらえれば」と話し、今後本格的に再開されるガイド活動を心待ちにした。