ストーリーから塗り絵を/宇治田原「ハートの光」サークル
取り組む下岡さんに寄り添う上辻さん

「地域の人たちと交流を深めながら、ハートのまちで光り輝こう!」をテーマに活動するJA京都やましろ女性部宇治田原町支部「ハートの光」サークル(上辻容子代表、12人)は今月、設立当初から取り組む「紙芝居」の住民参加を呼び掛け、地域の高齢者たちが塗り絵を楽しんだ。新型コロナウイルスの感染防止に配慮してマスクを着けたまま、下絵の隅々にまで、絵具でカラーを丹念に付けていった。時に、世間話や生い立ちなどに歓談を弾ませながら、脳を回転させ、絵筆を器用に操った。
JA女性部の宇治田原町支部「ハートの光」サークルは2017年10月に設立され、男性の料理教室や幼児と小学生を対象にしたおむすび作り、高齢者と紙芝居を共同制作する発表と交流がメーンの取り組みを続ける。紙芝居では、年間3作品ほどを手掛け、約4カ月にわたって下絵描きと色塗りを行っている。
町内各区で催される高齢者に向けたミニサロンなどに作品を持ち込み、集まった参加者たちも色塗りを楽しんで、共に仕上げる。出来上がった作品はサロンのほか、農協祭でも披露している。

「たけのこノコノコ」のカットに色付けしていく赤井さん、柳武さん

JAグループの一般社団法人家の光協会が発行する月刊誌「家の光」の中、小学低学年向けの童話が毎号掲載され、今取り組んでいるのは、童話賞で優秀賞を受賞した「たけのこノコノコ」。主人公である子供のお父さん、お母さん、おばあさんの前にノコノコと現れるタケノコとのやり取りを軽妙に描くストーリーをもとに、メンバーたちが自宅を中心に下絵を制作。サロン、高齢者施設に向かう際には、下絵の状態で作品を運び、絵具一式を携行。最後の仕上げとなる色塗りを高齢者らにもやってもらう。
ところが、現在は、コロナ禍を受けて訪問もままならず、上辻代表が勤務するデイケアセンターの利用者に参加を呼び掛けた。この日は、JA宇治田原町支店の2階和室にサークルメンバーのほか、呼び掛けに応じた下岡貞子さん(96)と、下岡さんがさらに声掛けした赤井せつこさん(80)、柳武(やなたけ)ふくみさん(85)の80~90代女性3人もテーブルを囲んだ。
「たけのこノコノコ」を通しで読んだあと、いよいよ色塗りへ。3人は「何年ぶりやろ…」などと笑みを湛えながら、混ぜ合わせた絵具を使って丁寧に下絵に沿って絵筆を動かした。メンバーも共に、血液型やふるさと、今の暮らしぶりなど会話も弾み、気持ちも和むと自然に筆のスピードも速まった。
子育て支援の場での発表にも意欲をみせる同サークルでは、紙芝居公演の希望を随時受け付けている。ハートの光サークルの問い合わせはJA宇治田原町支店℡0774-88-2034まで。