宇治市は10日、賛否両論があったゲーム風のPR動画をベースにしたスマートフォン向けの市プロモーションゲーム『宇治市~宇治茶と源氏物語のまち~』をリリース(完全無料)した。宇治来訪のきっかけとし、気に入ってもらえれば移住してもらいたい―との思いから30~40代の子育て世代をターゲットにしたファミコンを連想させる荒いタッチが特徴。山本正市長は「一人でも多くの人にダウンロード(DL)をして楽しんでもらいたい」と話しており、DL10万件を目指す。
PR動画は家庭用テレビゲーム機『ファミコン』を連想させる荒いタッチが特徴的で、萬福寺や三室戸寺、平等院など市の観光地を巡りながら敵を倒すゲーム風。2017年3月に公開されると、その奇抜な内容ゆえ、テレビなどで取り上げられ、市議会でも問題視する意見が多数を占めるなど物議を醸したが、動画の累計視聴回数は延べ60万回に達した。
大きな反響を呼んだことから、ゲーム化を決め、必要経費をインターネット上で集めるクラウドファンディングを実施した。個人331件、法人7件(返礼品はゲーム内の企業広告掲出)から合計634万1000円の寄付があったが、目標に届かず、不足分の穴埋めとして約450万円の税金を投入。目標未達成の影響などもあって、実際に宇治に来訪してもらうデジタルスタンプラリー踏破者へのゲーム上の特典はなくなった。
ゲーム内容は「スーパーマリオ」でお馴染みの横スクロールで、観光名所を巡り、観光案内を受けながら主人公が敵を倒すアクションもの。湯呑み型のキーで移動させ、茶団子の「甲」、「乙」、「丙」で主人公がジャンプしたり、パンチを繰り出す。
ステージは3つだが、ラスボスを倒すにはミニゲーム(ウミウと魚を取り合う等)をクリアする必要あり。市は「全てクリアするには30分程度かかる」と話している。
デジタルスタンプラリーは萬福寺、三室戸寺、(仮称)お茶と宇治のまち歴史公園、宇治橋、平等院鳳凰堂の5カ所。新型コロナウイルスが一定収束すれば、これを活用したイベントを検討する。
エンディング曲を歌うのは、市出身のヘヴィメタル歌手『THE冠』の冠徹弥さん。ゲーム完成に冠さんは「地元宇治市の素晴らしさを伝えたいという気持ちが爆発し、原曲とは似ても似つかぬ熱く激しいヘヴィメタルになってしまいました。全国の皆さん、是非このぶっ飛んだゲームを体験し、宇治市に遊びに来て下さい」とのコメントを出した。
山本市長は「一人でも多くの人にDLをして楽しんでもらいたい。これをきっかけに、リピーターになってくれれば」と話し、宇治への来訪を期待した。
DLは市公式ホームページ上にリンクが貼ってある。