【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】
今年も12月7・8日の両日、「城陽環境パートナーシップ会議」の一年間の活動成果を発表し、身近な環境問題と郷土の野生生物と生息環境の保全を呼び掛ける啓蒙活動の場と位置付ける「京都環境フェスティバル2019」に参加し、令和元年のナチュラリストのお勤めを終えています。9月のフィールドでのケガで、年間最大行事である「日本爬虫両棲類学会大会」での研究発表の機会を逸したナチュラリストにとって、調査記録と活動報告のアピールの場となったイベントには不運な悪夢も解消されて救われました。
京都環境フェスティバルには8年連続の出展とはいえ、今年は活動母体である城陽環境PS会議が、研究者や専門家の方々の支援・協力によって、官民一体となって幅広い環境問題に取り組み、今後も様々な企画がめじろ押しの頼もしい環境団体であることをあらためて実感しています。今年も一年を振り返る季節を迎え、感謝の気持ちが募るたくさんの思い出の続編を来たるべき新年に期待している年の瀬です。
年度末報告にふさわしい城陽環境PS会議の活動と京都環境フェスティバルの話題から、『未来に残したい郷土の環境資料と拡がる人の環』を物語るフォトレポートをお届けします。絶滅危惧種に値するナチュラリスト仲間たちが勢ぞろいです。

◎写真で綴る活動報告

「城陽環境パートナーシップ会議」が誇る「生き物ハンドブック」シリーズの第五弾・植物編ガイドブックが完成し、12月3日に市役所でマスコミ発表を行いました。(写真①) 2012年の「生き物ハンドブック改訂版」から昨年の「希少生物編」まで、PS会議は京都府最大の環境イベントである「京都環境フェスティバル」で公表を続け、関連資料と共に参加者に配布しています。
監修者には、小学校の野外実習指導でご一緒する宇治市植物公園の魚住智子園長さん(写真②)にお願いし、PS会議自然部会の山村元秀運営委員(写真③右2)が執筆しています。専門家の魚住園長さんにご協力いただけたことで、資料も重みと公共性が加わり、胸を張って京都環境フェスティバルに於いて公示と配布を行いました。
自然観察会の植物担当の山村先生は生き物全般に造詣が深く、今年は申し込み半日で定員をオーバーし、結局200名もの参加者を受け入れた太陽が丘での「夏休み・夜の昆虫観察会」でも指導を願っています。虫少年たちの需要に応えて、西森誉普さんや田中寿樹さんたちと共に来年度は「昆虫編」のガイドブック作成と、地元イベント開催にも期待しているところです。
ブースの掲示資料には、最新版の教育雑誌に掲載された脇坂英弥君の巻頭カラー版6頁のケリの特集記事や、翌週に山階鳥類研究所のおひざ元で開催される「日本鳥類標識協会大会」での講演資料8頁の他、論文なども紹介しています。同じく活動報告のメインとなる当「フィールド日記」も、ラミネート版掲示資料と共に配布資料として有効活用しています。(写真④) 昨年度より取り組んできた和束町の野生生物生息調査では、10月の鳥類目録と野生生物生息リストの中間報告を受けて、和束町の町史編さん室が「和束町の生き物」を紹介するパネル展示をしていただきました。来年度より京都府の希少野生生物に指定のタマシギの本格調査と、ケリにGPSを装着して追跡調査の新分野に乗り出す超多忙な脇坂英弥君(写真⑤左)も、緑豊かで生き物の宝庫の和束町への継続調査は二つ返事で快諾です。
今年も生き物展示で賑わうコーナーは小学校4年生の松井優樹君にお任せ。(写真⑥⑦) かたやの功労者・市役所環境課事務局の面々には、我が家名物・スッポン鍋を囲む会へのご招待で、初参加の新任職員2人がナチュラリストの軍門に下りました。(写真⑧⑨⑩) イベントで大活躍のスッポンが、お役目を終えて最後の奉公です。…合掌!

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