「命の現場」で働く医療関係者と西城陽中学校(佐古清校長)の生徒が意見交流をする授業が21日、同校で行われた。1年生94人が医師や看護師らの話を聞き、仕事の厳しさとやりがい、努力を重ねる大切さを実感した。
次代の医療の担い手育成に向け、一般社団法人京都私立病院協会(清水鴻一郎会長)が創立55周年記念事業で出張講座を企画した。
府内4中学校が対象で、西城陽中は南部地域で唯一の開催校。2年生時の職場体験学習を見据え、仕事の魅力ややりがいに触れてもらおうと同協会に申し込んだ。
医師2人、看護師・管理栄養士・理学療法士・臨床工学技士各1人が3クラス別に授業を行った。生徒は事前学習で病院医療へ理解を深め、聞きたいことをグループでまとめた。
「仕事で大変だったことは?」「病院には何種類の薬がありますか?」といった生徒からの質問に医療関係者らが丁寧に答え、命の現場で葛藤と自問自答を日々繰り返しながら、最善を尽くしている様子を伝えた。
「今までで一番難しかった手術」で、医師の清水会長は23時間かかった脳腫瘍の手術を振り返った。時間は短くとも、大量出血の危険性と背中合わせの血管系の手術では一瞬も気を抜けないことを説明。様々な専門職の力を結集させ最大限の力を発揮するチーム医療の特徴は、仕事全般や社会生活に共通することを指摘した。
仕事のやりがいについて、看護師は「患者さんが元気になって帰られる時、看護師冥利につきる」と顔をほころばせ、「専門職は厳しさがつきまとう。毎日が勉強」と引き締めた。
授業に参加した田口はるかさんは「ベテランで、経験を積んでいる人でも言っていた『毎日が勉強』は、いろいろな仕事に通じる。努力する大切さが伝わった」と話した。