カフェで「傾聴」身近に/地元ボランティア団体
和気あいあいと人々が集う「おしゃべりカフェこころ」(久御山町内)

お年寄りなどの心に寄り添って話を聞く傾聴ボランティアの活動を知ってもらおうと、地元グループが新たな試みを始めている。着目したのは、気軽に集えるカフェ。社会の高齢化とともに、話し相手を必要とする人が増えると見込まれる中、傾聴活動を身近に利用してもらいやすいよう間口を広げている。
傾聴ボランティアは、答えを出さず、こちら側の考えを言わず、本人が思っていることや悩み苦しんでいることを親身に聞き、心の整理の手伝いをする。

■すっきり顔 活動の喜び
宇治市傾聴ボランティアサークル「かかし」は、昨年11月、発足10年を迎えた。広野・西小倉・東宇治で開設されている市福祉サービス公社のデイサービスセンターの通所者や、家にいて社会との交流が少なく寂しい思いをしている人向けに傾聴活動を担ってきた。
ただ、個人宅への訪問型活動は、民生委員やケアマネージャーからの紹介や別居する家族などからの依頼が主で、「本人から声を上げるケースは少ない」(西川重雄代表)のが現状。そのため、市内の福祉関係の催しでブース出展や体験コーナーのほか、気軽に立ち寄れる「傾聴カフェ」を開いたところ人気を集め、市民に広く「傾聴」を周知する機会につながった。
代表の西川さん(70)は「困ったり、寂しくしたりしていた人がすっきりした顔になり、また来月も来てやと言われると、非常にやりがいを感じる」と充実感をにじませる。

■おしゃべり 心晴れ晴れ
久御山町社会福祉協議会の講座をきっかけに発足した「こころ」は昨年11月から、従来の「傾聴サロン『こころ』」を「おしゃべりカフェこころ」に衣替えした。
戸別訪問では気遣う人のため、元民家を活用した町社協の多目的スペースで4年余り前から定期的にサロンを始めたが、ここ最近は利用者が低迷。「何か話さないと」と思われがちだった「サロン」を改名し、個室での傾聴活動ではなく、広いペースで利用者とボランティアがコーヒーや紅茶、お菓子を囲んで憩うスタイルにした。
キャッチフレーズは「ちょっと寄り道・おしゃべりで・心晴々(はればれ)」。「誰でもウエルカム。ふらっと来ることができる場所。構えず来ることができる空間」を目指す。大西信子さん、庄司悦子さん、早川政代さんの3人が共同代表。早川さん(70)は「友達が友達を連れ、にぎやかになれば。楽しい雰囲気にしたい」と願いを込める。