井手で職員ら8人集団感染/新型コロナ
役場の消毒作業に追われる職員

京都産業大学(京都市北区)学生らの新型コロナウイルス集団感染で、府は30日夜、学生と接触のあった井手町職員3人の「陽性」を発表した。同町は役場本庁舎を閉鎖。同町商工会の会員男性5人の「陽性」も明らかになり、集団感染へと広がった。
京産大の学生4人がヨーロッパを卒業旅行。帰国後、ゼミ卒業祝賀会などに出席し、新型コロナの集団感染を引き起こした。
本紙関係でも同大学に在籍する宇治市の20代女子学生、井手町の20代男子学生の新型コロナ罹患が判明。井手町には京産大との交流拠点「むすび家ide」があるが、そこのカフェで3月23日に学生6人、町職員7人、同町商工会のメンバーなど10人の合計23人が集い、交流会を開いた。
学生の一部が感染していると知らず、鍋を皆で囲み、一気に拡大。30日夜に町職員3人の「陽性」(残り3人「陰性」、あと1人「検査中」)が明らかになり、31日には商工会の会員5人の「陽性」が判明した。
町職員は地域創生推進室の20代男性(宇治市在住)、税務課の20代男性(井手町在住)、保健医療課の30代男性(同)。1室2課に所属する18人は自宅待機(陽性3人は入院)となり、消毒のため31日から本庁舎を閉鎖した。1室2課は業務を停止。他課の業務に関しては西別館1階に相談窓口を設けて住民に対応し、きょう1日も継続する。

緊急会見を開く汐見町長

30日午後11時から緊急会見を開いた汐見明男町長は「住民にご迷惑、ご心配をおかけし、お詫び申し上げる」と陳謝。その上で「できるだけ早く業務を再開したいが、検査の関係もあり、分からない」と話した。
また、商工会の5人は30~40代の男性で、うち3人は同町在住、残り2人は京田辺市など他市に住んでいる。

庁舎正面玄関に張り出された「関係者以外立ち入り禁止」の文字を見つめる町民

■町民「これで終わるかな…」
町職員3人が新型コロナウイルスに感染したことが分かった井手町は31日、役場本庁舎を閉鎖して関係者以外の立ち入りを禁止。西別館1階に臨時の窓口を開いた。
開庁から閉庁まで正面玄関付近に職員2人が立ち、来庁した住民らを案内。臨時窓口は高齢福祉課と住民福祉課だが、職員の感染が確認された保健医療課・税務課・地域創生推進室を除き、他部局についても用件に応じて本庁舎内と連絡を取り対応した。終日混み合うことなく、大きな混乱はなかった。
臨時窓口から出てきた60代の女性は「月末なので水道代の支払いに来た。(来庁を)戸惑ったが、来るしかない。手洗い、うがい、できるだけ外出しないなど、自分たちで気をつけるしかない」と、事態を受け止めていた。
庁舎近くで弁当店「満福亭You楽」を営む岩田日出男さん(70)は、様子を見に正面玄関へ来た。「営業する予定だったが、役場の状況を考えてきょうからしばらく閉店にした。3人で終わるかな。90歳になる母がいるので、感染したら怖い」と戸惑いを隠せない様子だった。
町によると、3人との濃厚接触者は19人おり、全員がこの日自宅で待機するとともに、順次PCR検査に臨んだ。
職員らが感染したと見られる「交流会」(府発表)が行われていた「むすび家ide」(京都産業大学の学生でつくる「井手応援隊」の活動拠点)は、入り口に「感染拡大防止のため当分の間休業いたします」との案内が掲示された。「井手応援隊」が運営に携わる同施設内の「むすび家カフェ」も休業。
関係者の話を総合すると、「交流会」は年度末の慰労会あるいは歓送迎会のような意味合いで私的に誘い合い催されたものとみられる。
井手町商工会はこの日、PCR検査の結果陽性と分かった参加者について関係機関から連絡を受け、会員5人が含まれていることが分かった。同商工会は、この5人と接した職員が2人いたことを確認。府山城北保健所に相談したところ、10分ほどの立ち話だったことから「濃厚接触者には当たらないだろう」との返答を得たという。
庁舎議会棟では「交流会」後の25日、町議会3月定例会本会議が行われ、町議らが参集していた。岡田久雄議長は本紙の取材に、「議員の中に濃厚接触者はいないと聞いている。町当局から、逐一情報をもらっている。感染拡大防止のためのしっかりした対応を求めつつ見守っている」とした。