【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】
猛威を奮うコロナウイルス騒動の余波は、水温む季節を待ち焦がれていたナチュラリストの活動にも甚大な影響をもたらし、陸に上がった河童状態が続いています。3月20日、四国水族館のオープンが延期になり、22日の和束町自然観察会中止に始まるナチュラリストのライフワークへの影響は、5月までのイベント全てにおよび、その後の6月からの観察会なども保留や未定の憂き目です。
梅のつぼみほころぶ早春の山里の水辺にアカガエルの卵塊を探し、初飛来のツバメの確認日をフィールドノートに記して、桜の便りと共に繁殖シーズンを迎えたケリの調査に奔走するナチュラリストのライフスタイルも、自然観察会など郷土の生き物たちとその生息環境保全の大切さのアピールとなる啓蒙活動の場があってこその生き甲斐です。一日も早いコロナウイルの終焉で、毎年恒例の「カエルの観察会」や「水辺の生き物採集会」が無事開催されることを願って、もうひとつの啓蒙活動と位置付ける当紙面報告の朗報発信で厄払いです。
城陽市議会でも取り上げられたコウノトリ・ひかりちゃんの経済効果?はともかく、洋の東西を問わず幸せを運ぶ福鳥の飛来は、大きな話題となって人々に夢を与えてくれました。そして筆者も、千葉県鴨川市に飛び去ったひかりちゃんとの再会の様子見や、その後に城陽市で確認された藍ちゃん・和ちゃん姉妹のふるさと・徳島県鳴門市への視察も考えていましたが、コロナ騒動で断念した経緯がありました。
また、京都市の広沢の池に兵庫県豊岡市の巣搭で昨年に生まれたオスのコウノトリが飛来したこともあって、これらの詳細資料を携えてコウノトリの郷公園へ報告に行く予定も、3月20日からの連休中に閉館となり、あらためての出直しも先が見えずに今日を迎えています。久しくの活動報告も、やはり縁起鳥のコウノトリの話題となりました。暗いご時世、コウノトリが架け橋となった人たちとの交流日記と、新たに寄せられた素晴らしい写真での厄払い朗報発信にお付き合い下さい。

◎フォトアルバム

城陽環境パートナーシップ会議の窓口・市役所環境課に架けられたコウノトリの写真は、大好評を得た第一弾の絵はがきの原版です。(写真①) 「城陽生き物ハンドブックDVD版」の改訂版製作にも関連し、絵はがきの増刷でも前号で紹介した「近鉄しまかぜ」と共に、新たに飛翔写真2点が加わりました。そのひとつが、ひかりちゃん定番の電波塔から飛び立つ優美な姿をとらえた奥田睦和さんの作品で、中学の同窓生・千枝さんのお兄さんからたくさんの貴重な記録写真の提供を受けています。(写真②③)
そして、満月を背景に電波塔で眠るひかりちゃんの幻想的な奇跡のショットの撮影で、一躍時の人となった西尾長太郎さん(写真④左)は、マスコミ報道をたいそう喜んでいただいた中学時代の恩師・宮本英男先生夫妻に、これからも長寿・健康の願いを込めて自慢の作品を贈っての恩返しです。城陽中学校の草創期からの名物教師・宮本先生宅に、「さみどりもゆる鴻ノ巣の♪」懐かしい校歌に唱われしゆかりの瑞祥の福島・コウノトリの写真が飾られました。
やはり大人気の田部富男さん(写真⑤右)の「水鏡」の作品も各方面で有効活用させてもらい、ひかりちゃんの餌場となった水田の地権者・杜若園芸さんにご挨拶に伺った際にも、五百木晋平・部長さん(同左)に写真を進呈しています。6月の城陽環境PS会議のミニフォーラムで、今回のひかりちゃん滞在記の総括を予定していますが、城陽市にコウノトリが飛来し、厳冬期を過ごした要因には、無農薬の花卉栽培水田での採餌が第一に挙げられます。杜若園芸さんには、コウノトリの観察者たちにもご配慮をいただき、あらためて石見社長さんからお話を伺って資料記録としたいと考えているところです。
前回、ひかりちゃんに続いて城陽市に徳島県鳴門市生まれのコウノトリ2羽の飛来をお伝えしましたが、これらの記録は脚に装着された標識足環の確認によるものです。本来警戒心が強く、なかなか足環の色や組み合わせを確認ことは困難であり、コウノトリの移動経路など、学術貢献に値する記録は得難いことがお分かりいただけることでしょう。1月に続いて3月の29日にも、亀岡市にコウノトリの観察に出向きましたが、とてもとても姿を確認するだけでやっとの状態でした。
そして今回、3月7日に京都市の広沢の池に飛来したコウノトリを撮影した山中十郎さん(写真⑥右)の写真には度肝を抜かれ驚嘆しました! 過去15年間、ほぼ毎日バードウォッチャーやカメラマンが集う広沢の池で、コウノトリの記録は上空通過と今回の飛来があるだけです。幸運な出会いに、超望遠レンズでコウノトリの脚の鱗まで確認できる足環写真から、豊岡市生まれの2歳の♂・J0195と判明しています。(写真⑦) 以下次号

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