授業オンライン化に尽力/京都文教大学・短期大学
遠隔地でやり取りできるソフトを試す教員と職員ら

新型コロナウイルス感染拡大で休校が続く学び舎のうち、京都文教大学・短期大学(平岡聡学長)=宇治市槇島町=は着々と授業オンライン化の準備を進めている。パソコンやスマホを使った「非対面」型授業の20日(月)スタートを見据え、常勤教員約100人と非常勤講師180人以上の合計約300人のITスキル向上を計画的に行い、学生の学習機会の確保を担保する教員の地力アップをサポート。ライブ・オンデマンド配信の滞りない実現へ切り開く。大学と短大を合わせて約2600人の学生全員から回答を得る努力を怠らないアンケートの実施をはじめ、他大学に先んじた環境整備にベストを尽くす。
一向に止む気配のない新型コロナウイルス感染症の拡大。国内外で感染者が増え続ける中、同大学・短大でも入学式を中止し、発熱や不安を感じる人の自宅待機を促しながら入学ガイダンスを開いて履修登録はオンライン化し、環境を有しない学生にはパソコンルームが利用できるようにした。
パソコンなどを活用した非対面型の授業開始を今月20日(月)に設定。5月11日(月)の対面型授業スタートを目指すが、コロナシンドロームの状況次第で非常に流動的。それでも、大学・短大合わせて約2600人の学生に対し、常勤講師99人(大学69人、短大30人)と、180人を超す非常勤講師が展開する860に及ぶ授業をしっかりと提供するため、先月に学長諮問ワーキンググループを設置し、対応を検討してきた。
今月3日、悉皆(しっかい)アンケートを実施。「最後の一人まで漏らさない」との固い意志のもと、学生全員からの回答に尽力。10日現在で2394人から回答を得て、「あと200人。教官が生徒に呼び掛け、残りもすべて取る」と強い責任感で事に当たっている。ここまでの回答数2394件の結果を見ると、それぞれの所持率は▽スマホ99・5%▽タブレット22・5%▽ノートPC66・7%▽デスクトップPC15・2%▽プリンタ39・9%▽YouTubeなどを見られるゲーム機やスマートテレビ30・1%―。スマホはほぼ全員が持ち、約2割はパソコンを持たない現状が明らかになった。また、オンライン配信に欠かせない「容量制限のない」ネット環境を有している学生は4月初めに8割ちょっとで、呼び掛けも増した現在は94・9%に上るという。
これに対して、教員に行った緊急アンケートでは、▽スマホで動画を撮影したことがない専任15%、非常勤30%▽パワーポイントを使ったことがない専任20%、非常勤60%―など、教員サイドがITに縁遠い現状もつぶさに露呈し、「教員への支援の必要性がある。教員の支援が、学生の支援」との危機意識に至った。
専任を中心にしたFD(ファカルティ・ディベロップメント)研修では、パワーポイントを使う動画作成、グーグルの「ハングアウトミート」を介したライブ授業などを行い、その一部始終を動画・資料込みでオンライン公開。8~17日まで、「集中サポートウイーク」として、専任教員や職員、業者がサポーターとなり、申し込んだ132人の教員が順次、個別で最低1時間、実践の手ほどきを受けている。

オンラインライブ配信に向けて準備を進める

原則、授業は1科目につき90分を15回。2㍍のソーシャル・ディスタンスを考慮すれば、70人教室では最大でも30人までが限界となる。対面授業は一体いつに、感染の雲行きにより、オンライン授業はいつまで続くか誰にも分からない。実際のサポートにも当たる学長企画部の村山孝道・教学企画課長は「ピアノや調理実習など、どこまでオンラインで再現できるかは、まったくの挑戦」と頭を悩ませながらも、「オンラインには、リンクを貼って資料を見やすくする、チャットで質問しやすい…など、ならではの強みもある。リアルより双方向性が高まるのでは、とワクワクされる先生もいらっしゃる」と幾分、明るい展望に触れる。
新入生向け図書ガイダンスのオンライン版コンテンツ作りに励む野々山功一・図書館事務室課長は「今まではガイダンスでやって来たものを、オンライン授業の開始に合わせたい。存分に活用できるように学生を支援したい」と意気込む。
研修を受けた大学総合社会学部社会学科の馬場雄司教授は「教員だけでなく、学生がアクセスできるか、使えるのか、不安はある。やってみないと分からない。フィールドワークができない。集まって表情を見ながらでないと…という授業の内容も多い」と非対面への困惑を隠しきれない様子だった。