総力結集!崖っぷち弁当/宇治橋通り商店街
「崖っぷち弁当」アイデアを即実行!

ユーチューブで窮状を訴える佐脇理事長

新型コロナウイルス感染拡大による営業自粛要請の動きを受け、商店街では休業や短縮営業に追い込まれる飲食店が増えている。宇治橋通り商店街では今月初め、危機感を持ったオーナーたちが集まって対策を協議。テイクアウト用のメニューを準備して提供する「崖っぷち弁当」プロジェクトが誕生し、話題を呼んでいる。
同商店街振興組合で理事長を務める佐脇至さん(56)は、ユーチューブ上で飲食店の現状を知らせる動画を作成。ガランとした商店街を映しながら「人がいません…こんな景色見たことない!」と切実に窮状を訴えた。
動画は、先週6日に商店街のオーナー有志が緊急に話し合った内容を受けてのものだった。メンバーの一人が発した「今が崖っぷちやな…」の言葉そのままに、各店の個性を生かした「崖っぷち弁当」プロジェクトが急きょ始まった。
弁当の包装パッケージは今回のためのデザインを特別に制作。スピードを意識した佐脇さんは「会議の翌々日には出来上がり、各店への呼び掛けと準備に入った」と振り返る。
価格は800円(税込み)に統一。プロジェクトには16店舗が参加した。中のメニューは各店の個性を生かしたオリジナルの弁当とした。

宇治妙楽「乱」店主の井谷豊さん

同商店街で居酒屋「旬と感の店・乱」を経営する井谷豊さん(46)は「日に日に切迫する状況で少しでも動きたい」と思い、先週11日に弁当作りにトライ。しかし、弁当提供の経験はほとんどなく、告知不足も原因となり売れ行きはサッパリだったという。
折しも、佐脇さんがSNSやマスコミを通して「崖っぷち」企画を広くPR。1週間前にアップした動画は再生回数1300回を超えた。ツイッターの反応も上々で、急速に協力の輪が広がっていった。
14日、井谷さんの店を含めて数店舗で本格販売がスタート。「乱」では、予約電話が集中し、予定していた30食は正午過ぎに完売。来店したお客さんが空っぽの台を目にして「売り切れたんか。残念」と肩を落とした。
井谷さんは「各店だけの努力では無理なので、全店一緒になりスタートラインに乗せようと懸命だった。普段はお客さんに助けていただいている。付近は坂道も多くて買い物がしんどい方もいるので、今後は配達なども検討中」と話した。
構想からわずか1週間余り。あす16日には、参加店舗の全てで販売の体制が整う。コロナ騒動が収束の気配を見せない中「崖っぷち」弁当も当分の間続けるという。
佐脇さんは「どこの商店街でも全般に経営が厳しい状態。お弁当を買いに来た人が、買い物ついでに他の店にも立ち寄っていただければと思う」と話した。

「びすとろD」オーナーの中川充さん

■コロナに負けず作ります
宇治橋通り商店街で16日に本格スタートした「崖っぷち弁当」プロジェクト。「コロナ不況」を打ち払おうと、共通の「崖っぷち」包装紙を使い、各店の個性を生かした弁当を販売する企画が進行している。
宇治妙楽にある洋食・フレンチの店「びすとろD」では、6日から弁当販売を本格スタート。メインのハンバーグ弁当に加え、今回「崖っぷち」として提供するのはオリジナル・ハンバーガー弁当。2種類のバンズに好きな具材を組み合わせる「手作り」版だ。
オーナーの中川充さん(40)は「お客様に喜んでもらえれば…と、無い知恵をしぼって考えました。ご家庭でワイワイと楽しんで頂けるようなお弁当にしました」と笑顔で話した。

「ロバ」オーナーの荻田貴之さん

宇治壱番の「御料理と喫茶・ロバ」でもコロナを機に弁当販売を始めたが「厨房がお弁当用になっておらず、まだ量産はできない」という。
オーナーの荻田貴之さん(41)は「和食を中心に、特に高齢者に喜んでもらえる薄味を意識している。月1くらいで来られるお客さんが、週1~2のペースで利用されていて、意外だった。今後の販売につなげる良いきっかけがもらえたと思う」と喜んだ。
崖っぷち弁当は、どの店も税込み800円。予約が必要な場合があるので、各店舗へ問い合わせること。
プロジェクト参加店舗は次の通り(番号は参加店マップに対応)。
①ヴィット・デ・ウィット②cоcоni③KOALA・PARK④地鶏家・心⑤乱⑥食堂・山小屋⑦中村うどん⑧びすとろD⑨風の館⑩GOCHIOcafe⑪いろり紅家⑫Nico⑬茶願寿カフェ⑭ロバ⑮旬菜魚庵・はせ川⑯あぶらや
崖っぷち弁当特設ウェブサイト=https://ujibashi.net/bento/

「崖っぷち」弁当プロジェクト参加店マップ