久御山町社会福祉協議会(岡西義久会長)が同町佐古に開設した多目的施設「ほっとハウス『チエさん』」が今年度、5周年を迎える。孤食の子供に食事や学習機会を提供するこども食堂や、認知症への正しい理解の普及啓発、シニアの男性の憩いの場などに幅広く活用され、地域の居場所として3世代の共生の輪が広がっている。
チエさんは同町ゆうホール近くの2階建て木造家屋。町社協の介護事業の利用者で、社協行事にも協力するなど、福祉と縁が深かった住人の故・井上ちゑさんの名前にちなんだ。
晩年一人暮らしだった井上さんが2013年末に91歳で亡くなって以降、空き家になっていた。社協はかねてから、高齢者や障害者など様々な人が交流する地域の居場所の開設を思案しており、井上さんの遺族に協力を打診。快諾を得てこの家を借り受け、多世代が集うスペースを2015年6月に開設した。
『チエさん』は台所やトイレなど水まわり設備が整っており、当初から町母子寡婦(さつき)会が府ひとり親家庭のこどもの居場所づくり事業で取り組む「こども食堂」で利用する。町の認知症カフェ「おこしやす・こもれびプラザ」や、退職後のセカンドライフの充実化に向けて、社協が企画する「久御山オッサンズカフェ」などにも活用される。
太い眉毛に目をぱっちり開けたキャラクターのような愛嬌ある外観。所有者の善意で、このほど大掛かりな修繕が完了した。トレードマークのとんがり屋根には、夏季でも室内の温度上昇を抑制できる遮熱塗装が施されたほか、外壁の塗り直しや廊下の張り直しなどが行われた。2階外壁には新たに「ほっとハウスチエさん」の名前が書かれた。
5周年記念の手作りマルシェと音楽カフェが3月に計画されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期(開催日未定)に。町社協は事態の早期収束を願い、「まずは5周年の行事をしてチエさんの認識を広げ、多くの人に使ってもらいたい。水まわりの設備や縁側もあるので色々な使い方ができる」と呼び掛ける。