巣ごもり生活 気分転換/地域で自主活動
防災無線の放送に合わせて玄関先で交流する久御山町栄3・4丁目自治会の本部役員と住民

新型コロナウイルス感染拡大で長引く「巣ごもり生活」。緊急事態宣言下の外出自粛で地域交流の機会が滞る中、在宅中心のライフスタイルの気分転換をしてもらおうと、工夫を凝らした自主活動が地元で行われている。いつものように茶飲み話をしたり、教室で一緒に体を動かしたりできなくとも、住民同士のふれあいや健康づくりに一役買っている。
「本日5時になりましたら、防災無線の音楽を合図に玄関口にお顔を出されてはいかがでしょうか。背伸びもよし、深呼吸もよし。元気なお顔を少しでも見れたら幸いです」
久御山町栄3・4丁目では「夕方5時にお会いしましょう!」を合言葉に、今月初めから自治会の本部役員が地域を回り、マイク広報で玄関先への〝外出〟を呼び掛けてきた。
町内全域に町が設置した同報系防災行政無線(屋外スピーカー)を活用した自主的な取り組み。スピーカーから毎日午後5時に流れる「久御山町の歌」の音楽チャイムに合わせて、巣ごもり生活でのちょっとしたリフレッシュを促し、わずかな時間でも互いに顔を見せ合うことで高齢者世帯の安否確認を兼ねる。
自治会ではゴールデンウイーク期間中も呼び掛けを続けてきた。活動は浸透し、玄関先に出て役員らに笑顔いっぱい手を振る住民の姿も。
コロナ自粛による住民生活への影響を懸念し、取り組みを提案した自治会長の中田保彦さん(72)は「何とかしたいという思いがあった」と振り返る。住民から本部役員へ「ご苦労さん」の声が寄せられたほか、「こんなことをしてもらってうれしい」と喜ぶ高齢者もいたといい、地道な活動の成果に手応えをつかむ。10日以降も継続するか未定だが、町内では、他自治会にも同様の取り組みが広がりつつある。

■健康づくりご一緒に

宇治市福祉サービス公社は棒を使った体操などをウェブで紹介

「外出ができないと心もふさぎがち。家でも体操など健康に良いことにチャレンジを」
宇治市福祉サービス公社は、家で楽しく体操ができるウェルビーチャンネルを動画投稿サイト「ユーチューブ」に開設している。
肩幅に棒を持って肩回りや胴回りのストレッチを気軽にする「棒を使ったスッキリ体操」、いすに座ったまま軽運動で心地よく体を刺激する「一直線体操」、左右で異なる手指の動きを組み合わせる「リズム指体操」などを紹介した。
一直線体操などは、高齢者になじみ深いヒットソング「高原列車は行く」のリズムに合わせてプログラムに挑戦する。リズム指体操について、同公社の介護予防サポートセンター理学療法士、阪東美可子さんは「初めは難しいけれど、失敗しても、間違っても良い。間違えるくらいが頭に刺激が行きます」と説明する。
新型コロナの影響で、同公社は市委託事業で行っている高齢者向けの体操や脳活性化の教室を3月から中止。教室利用者約200人の体力や生活の張りの維持を考慮し、現場の声も取り入れながらウェブ活用を始めた。家族からスマホを借りて視聴するお年寄りもいるという。
「今は外に出づらい状況。これを観て、一緒にやっている感じを味わって」と阪東さん。「1人では続けにくいけれど、人と一緒にやると継続できる。楽しい気持ちや、みんなでやっている感覚で体操を続け、コロナが収まった頃にまた集まれたら」と願いを込める。