風流です「竹根茶わん」/宇治・県神社
竹根茶わんで抹茶を点てる齊藤勝さん

来月5日の県祭りを居祭りの形で行う県神社(田鍬到一宮司)では、齊藤勝さん(78)=菟道田中=が丹精込めて仕上げた「竹根(ちっこん)茶わん」が社務所に置かれ、訪れる人を楽しませている。
齊藤勝さんが作る竹根茶わんは、約30年にわたり試行錯誤を重ねた逸品で、8年前に法然院(京都市左京区鹿ヶ谷)で、2年前には同神社で作品展を開いた実績がある。なお、勝さんの甥・齊藤耕至さんは、宇治橋通り商店街にあるサイトー写真館の四代目社長を務める。

孟宗竹で作った水差し。県神社の社務所に飾られている

原料の竹は割れやすく、虫害で使えなくなったりで、素材になるのは半分くらい。火であぶって油分を抜き、約5年かけて乾燥させ、ようやく細工ができる状態になる。
漆の重ね具合や文様の出し方にも工夫を凝らす。昨年は、史上初めてブラックホールの撮影に成功したニュースにちなみ、宇宙と夜をイメージした竹製の水差しを制作。同神社で装飾品として利用されている。
ツヤのある表面など見た目は陶器そっくりだが、手に持った時の軽さに驚く人が多いという。風流な茶器を手に、齊藤さんは「茶どころ宇治で、陶芸とは違った味わいを楽しんで」と笑顔を見せた。