鳳凰堂の塗装ひも解く/平等院で「漆の勉強会」
鳳凰堂天蓋などの塗装調査について話す岡田客員教授

岡田文男・瓜生山学園京都芸術大学客員教授による漆工品の塗装調査の結果から、参加者が技法について自由に意見交換する「漆の勉強会」が21日、宇治市の平等院内にある浄土院(神居文彰住職)で行われた。東京などからの参加も含め約30人が、鳳凰堂天蓋などの塗装技法の話に熱心に耳を傾け、意見を交わした。
同勉強会は2018年に始め、今回で16回目。同大学の歴史遺産学科漆研究部会という位置づけで、これまで大学内で集まっていた。3月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で休会していたところ、神居住職から会場提供の話があり、浄土院での開催が実現したという。
この日は、岡田客員教授が「鳳凰堂天蓋、須弥壇、格子戸の塗装技法について」、京都市産業技術研究所研究フェローの大藪泰さんが「ラオス漆工技法カモク~バナナ空中戦から漆下地を考える~」と題して発表。

平等院内で見つかった漆の伝書に見入る参加者

岡田客員教授は平等院の平成の大修理に関わった経験から、剥離した塗膜の断面の顕微鏡写真を示しながら、「扉は赤」と考えた技法分析について説明した。
鳳凰堂の天蓋については、支輪の白の彩色の素材に複数の説があることや、黒い部分に塗り直しの形跡がないことなどについて参加者と意見を交わした。岡田客員教授はこれらの技法解析について「(次の大修理で調査が行われるだろう)100年後を待たないと分からない」と話した。
この日はまた、平等院内で発見された漆の技法を伝える古書も展示され、参加者が興味深げに見入った。