城陽市の今年度目玉施策の一つ「減塩のまちづくり事業」立ち上げ式が3日、市役所内で開かれ、京都文教短期大学(平岡聡学長)=宇治市槇島町=と山城地域情報サイト「ALCO宇治城陽」(小西常久代表取締役)=同市広野町=と協働で、市民の健康寿命延伸への取り組みをスタートさせた。具体的には、市内外の飲食店に塩分量を抑えた『減塩メニュー』を開発してもらい、市民の疾患率が高い『高血圧症』の対策につなげていく。
城陽市は、新名神高速道路の全線開通を2023年度末に控え、まちづくりが活気づく一方、高度成長期に一気に住宅開発が進んだ影響で、高齢化率が他市より高く、今後は市民の健康・維持増進策などソフト事業の充実が求められる。
そこで、市は今年度から国の地方創生推進交付金を活用して「減塩のまちづくり事業」を開始することにし、当初予算に必要な経費(50万3000円)を計上。誰もが健康で人生を最後まで、自分らしく暮らせる対策を講じていく。
その背景には、高齢化率33・5%=今年4月時点=と「3人に1人以上が高齢者」という現状と、府内データと比較して、同市は「脳血管疾患」による死亡率が高く、レセプト分析でも生活習慣病の治療者のうち、一番多いのは高血圧症という課題がある。
そこで、市民の高血圧症の改善・予防を図るため、減塩を核とした取り組みを始めることにし、市から奥田敏晴市長、協働する京都文教短期大学食物栄養学科から田中惠子教授、福田小百合准教授、望月美也子准教授、ライフデザイン学科の岩田美智子講師、それに「ALCO宇治城陽」の小西代表取締役が出席し、立ち上げ式を挙行した。
挨拶に立った奥田市長は「新名神の全線開通という他市にないアドバンテージを生かしたインフラ整備と並行して今、城陽市に住んでいる方々の転出抑制や、増加する交流人口の定住化を図るため、日々の暮らしやすさを向上させるソフト事業に力を入れる必要があると考える」と、市民の健康増進を一層、推進する旨を伝えた。
会場には、報道関係者のほか、市民の健康推進に関心を持つ小松原一哉議員(自民・副議長)も傍聴に訪れ、官学民連携の取り組み開始を見守った。
今後は、京都文教短大の田中教授らのアドバイスのもと、市内外の飲食店に塩分量を抑えた『減塩メニュー』の開発を働き掛け、そのお店を「ALCO宇治城陽」などで発信する。
これにより、家族の中に塩分摂取制限がかかっている人がいるため「外食を控えている」という市民に、安心して外食できる機会を創出でき、地元飲食店の活性化にもつながるメリットがある。
ただ、当面は新型コロナウイルスの感染予防で外食を控えているという市民も多いことから「市内スーパーに減塩食品コーナーを設置してもらうなど、内食(家での食事)に着目した取り組みも進めていく」という。
さらに、市食生活改善推進員協議会「ヘルスメイト城陽」など市民団体の協力も得て、市内のコミセン等で「健康づくり講座」を開催。生涯スポーツ事業の実施による運動面での健康増進策も進めていく。
同市では、市内外の飲食店を対象に『減塩メニュー』の開発・提供を呼び掛けており、詳しくは企画管理部政策企画課℡0774-56-4041まで。