今シーズンの宇治茶の取り引きに区切りを付ける「茶止市」が30日、城陽市寺田垣内後のJA全農京都茶市場で開かれた。新型コロナウイルスの影響で観光産業等が停滞、消費が低迷した影響を受け、宇治茶商戦に大打撃を与えた。取引量・金額とも「平成以降、最も低くなった」(京都茶市場)といい、特に全茶種とも「中級品以下のお茶価格が弱含み相場」となった。
今季の宇治茶の取り引きは、前年より3日早い4月23日の「初市」でスタートした。
その後、市場内では「もみ茶販売会」34回、「てん茶販売会」29回の入札が行われ、地元の茶問屋ら指定業者が、新茶の品質を見極め、それぞれの茶種に値段を付けていった。
茶止市を終えた時点での総取引量・金額は1029㌧(前年比218㌧減)、21億6492万2000円(同9億5482万5000円減)となった。
取引量の減少は「4月中旬以降の低温続きで、生育状況が緩慢となったこと」、金額の低迷は「新型コロナの影響で、観光産業が停滞するなど消費が見通せない中、買い控えがされたのではないか」と、京都茶市場では分析している。
総取引量・金額は「1989(平成元)年の霜害による大減産を上回り、平成・令和の時代で最も低くなった」と言い、茶業関係者の大打撃が浮き彫りとなった。
特に、近年の抹茶ブームで、低価格のてん茶を使用したお菓子等の原料として人気があった「中級品以下の茶葉」の相場の低迷が際立った。2番茶のてん茶(抹茶の原料)は前年の29%、同じく煎茶も前年比35%と、「半値どころではない値崩れ状態」。生産者にとっては「お茶を刈り取っても、加工賃で赤字になる」という深刻さ。
京都茶市場では「2番茶の刈り取りをやめて、来年の茶生産に向けて樹勢回復に努めていただきたい…とお願いした」と明かす。
新型コロナ対策として、初市に続いて「茶止市」も報道関係者さえ、入場制限を求める徹底ぶり。取引関係者も事前の検温・マスク着用・手指の消毒の厳守で行われた。式典も来賓出席はなし。参加した指定業者約40社・55人を前に、JA全農府本部の宅間敏廣本部長が締めくくりの挨拶を行った。
なお、茶止市後も8月6日(木)に2番茶の臨時販売会が開かれることが決まっている。