急変時に通訳スムーズ/京田辺市消防・多言語対応サービス
119番通報をキャッチする通信指令室の職員たち(京田辺市消防本部)

在住者だけでなく、観光客やビジネスなどでやって来る外国人の増加に対応する「多言語三者同時通訳サービス」が京田辺市消防本部で始まった。技能実習生の占める割合が高まる管内の1市2町でも、365日、24時間にわたり、18言語の緊急通報に応じることができ、急病や災害などもしもの事態に慌てず、心を落ち着かせての利用を呼び掛けている。
コロナ禍がなければ、今月24日に開幕を迎えていた東京五輪やパラリンピックを見据え、国が地方自治体に導入を働き掛けた取り組み。日本語が話せない外国人在住者・旅行者などが119番通報する、または災害現場での活動の際に、多言語通訳センターのオペレーターを介して消防署通信指令室(消防職員)と通報した外国人の三者が同時に通話できるようにする同時通訳サービス。
意思の疎通を図り、通報者の求めに対して迅速かつ的確な対応に結ぶもので、6月に運用を始めた京田辺市消防本部では、英・中・韓・西・葡のメジャー5言語をはじめ18言語に対応するコールセンターと契約し、24時間365日のサービスが受けられる。
ベトナム語、タガログ語など在留者が多い東南アジア諸国で使われる言語も粗方カバーする。京田辺市の外国人在住者は今年5月現在で1093人、国別では1位の中国323人、2位の韓国278人、3位のベトナム148人の上位。急伸するベトナム人のうちの約100人が技能実習生で、他国出身を合わせた実習生の総数は220人。宇治田原町の6月現在の外国人在住者は347人でベトナム、中国が上位。井手町でも6月現在の外国人在住者219人の出身国上位はベトナム、タイ、韓国の順で、技能実習生は100人を超える。
このサービスを利用すれば、回線をつないだ状態でセンターに架電し三者通話を可能にするほか、現場にいる外国人に電話機を手渡し容易に意思疎通できるメリットが生まれる。1市2町を管轄する同本部・中井一志さんは「急な場合、これまでは家族、知り合いが取り持っていたのが通例。こういうものがあればとの声を聞いた」と効果に期待を寄せる。