イタセンパラ再生へ/やましろ里山の会

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NPO法人「やましろ里山の会」(深田三郎理事長)=京田辺市田辺深田=はこのほど、国天然記念物で、2007年まで木津川で見られたというイタセンパラの保全・再生を願うパンフレットを作成した。広く知ってもらい、行動を―と、魚の定着に向けた竹蛇籠(たけじゃかご)づくりとそれを基にした中聖牛(ちゅうせいぎゅう)の組立・設置に協力を呼び掛けている。
「自然を大切にする仲間を大きくする」をモットーに、任意団体として1996年に発足した同会は、甘南備山、防賀川の植物調査をはじめ、「桜守」佐野藤右衛門さんをゲストに招いた自然と環境講演会などを開き、オオムラサキやナツフジ、レンリソウ、カスミサンショウウオなどを発見、保護団体として活動。2002年、NPO法人の認可を受け、京田辺市内の里山農園で子供たちが自然と触れ合う機会を提供している。
「2007年まで木津川で確認された」というイタセンパラ(板鮮腹)は、板状で平たい体をした色鮮やかな魚(大型タナゴ・体長は7~8㌢、最長12㌢)。オスは婚姻色で赤く染まり、鑑賞魚としても価値が高く、寿命は1~2年(ほとんどが1年)。淀川水系のシンボル魚として、淀川のワンド(静水域)でも再生の取り組みが進む。
同会では、15年から木津川流域に竹蛇籠を設置。17年からは毎年、3基の中聖牛(竹蛇籠9本を使用)を置き、稚魚が集まりやすい環境を形成。60年代以降、川砂採取やダム建設などで河床低下が進む中、伝統工法で自然への負荷も小さな川の流れのコントロールに努めている。
同会「木津川におけるイタセンパラの復活を目指してプロジェクト」の光田重幸代表(元同志社大学准教授)は「急流には住めない。川の端のワンド、溜まりが重要」と強調。二枚貝に産卵し、その中でふ化、成長する稀少種は、幼生が魚のエラに付き上流へ向かう共生型。大阪で育てられた稚魚を放流したこともある。
光田代表は「二枚貝が棲むワンド、溜まりを作る。自然の力で砂を溜め、一部できつつある」と近年の成果に手ごたえも感じつつある。
トヨタ自動車㈱の助成を受けた冊子作成は「まずは地元の人に知ってもらわなければ」の願いがある。「自然一般や川に関心がある人、親しもうとする人に読んでもらいたい」とアピール。A5版の12㌻。1000部を作成。希望者に無料頒布(許田辺市中央図書館、近鉄新田辺駅前案内所)。先着200人に送料無料で進呈。申し込み、問い合わせは太田理事メールjj0kyoto@gmail.comまで。

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