【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

11月21日、新型コロナ拡散第3波に戦々恐々の中、「城陽環境パートナーシップ会議」主催の「第19回城陽市環境フォーラム」が開催されました。
今年は『環境を学ぼう!』をテーマに、参加人数を制限したオンラインの講演会がライブ配信され、とにもかくにも年間最大行事を途絶えることなく来年度に引き継ぐことができ、環境保護団体としての責を果たせたことは先が見えないコロナ禍にあって今後の活動に励みとなるものでした。そして、全国的にも特異なコウノトリの越冬生態を、城陽市の自然環境に則して解説してくれた脇坂英弥君の講演が、城陽市公式チャンネルで動画アップされ、全国の研究者たちのニーズに応える郷土資料提供の基盤となって、コウノトリ・ひかりちゃんを見守っていただいた方々に報いる記録を残せたことは何よりの成果でした。
ナチュラリストの年間行事と位置付ける学会や京都環境フェスティバルがコロナ禍の憂き目にあって中止される中、参加人数の制限とオンラインシステムで「第19回城陽市環境フォーラム」開催の英断をいただいた城陽環境PS会議と市役所環境課・事務局の盟友たちには、次回につながる活動成果で応えるべく燃えています。環境フォーラム当日のアフターも、脇坂君とフィールドに飛び出して鳥類標識調査に奔走のナチュラリストです。
早、師走の足音が迫る中の今回、大役を務めてくれた脇坂英弥君の講演記録に華を添えるべく、瑞祥の福鳥・コウノトリの貴重な生態写真をあらためてご覧いただく機会としています。今一度、「城陽市公式チャンネル」にアクセスしていただき、ふるさとの豊かな自然環境を実証する野鳥たちとコウノトリの話に耳を傾けながら、「生き物ハンドブックDVD改訂版」の目玉となるタウナギの捕食シーンや、大好評を得た絵はがき「月影」「水鏡」などの秀作をお楽しみ下さい。
今シーズンも城陽市にひかりちゃんたちコウノトリが飛来し、いつの日か「鴻ノ巣山」の夢物語が現実のものになる近未来に期待しています。

◎環境フォーラム・フォトアルバム

「城陽市公式チャンネル」にアップされている動画配信の「第19回城陽市環境フォーラム」(写真①)で、『コウノトリが教えてくれた城陽市の生物多様性』と題した脇坂英弥君(写真②)の講演を見ることができます。米田あゆみさん(写真③左)の司会で、奥田敏晴市長と大野和宜・城陽環境PS会議会長のビデオメッセージに続いて、兵庫県立人と自然の博物館・地域研究員で博士(環境人間学)の脇坂英弥君のプロフィールが紹介され、リモートでのライブ講演会が始まりました。(写真④)
例年は文化パルク城陽を会場に、たくさんの協賛団体と多彩な催しで大盛況のイベントですが、今回の環境フォーラムは、福祉センターを舞台に城陽環境PS会議の循環・地球部会の小林駿・工学博士(写真⑤中央)の『ウィルスと地球の自然環境』と共に2題の講演に託されました。生ライブ発信の初の試みに、ピリピリした緊張感が伝わってくる市役所環境課の浜崎課長さん(同右3)たち事務局の方々のおかげで、窮地にあった年間最大行事にして唯一の活動報告を無事とり行うことができました。
開催することを目標とした取り組みも、アクセス数が500件を突破するに至って十分な成果と喜びあっています。怪我の功名?で公開資料となった環境フォーラムの講演を、これからも多くの方々に聞いてもらいたいと思っています。
そんな脇坂英弥君の講演は、昨年12月に城陽市に飛来して厳冬期を過ごしたコウノトリ・ひかりちゃんの詳細記録と、変化に富んだ自然環境が多くの生き物たちを育み、全国的にも希少な野鳥や生き物たちの記録が数多くあることを紹介してくれています。今回は参加者限定ですが、本来ならコウノトリの絵はがきを配布し、資料と共に写真のパネル展示を予定していました。
それらの作品がこちらの写真です。城陽警察署の上空を飛ぶ2羽のコウノトリ(写真⑥)、文化パルク城陽を背景に採餌と休み場(写真⑦⑧)、足環が確認できる(写真⑨)これらは飛来を実証する記録写真です。電車に人や焚火にも警戒せず(写真⑩⑪)、タウナギの捕食(写真⑫)に巣材集め(写真⑬)は非常に貴重な生態写真であり、形態が分かる飛翔写真や芸術性の高い「水鏡」に「月影」の写真もまた同様です。(写真⑭⑮⑯)
これら貴重な写真をご提供いただいた山中十郎さんに田部富男さん、西尾長太郎さん、田中義則さん、奥田睦和さんに澤江里恵子さんには、直後に蔓延した新型コロナウィルスの影響で十分な活用ができませんでしたが、京都府のレッドデータブックで南山城地方全域の鳥類相の取りまとめを託されている脇坂英弥君にとっては何よりの資料記録となりました。師走を迎え、城陽市の「コウノトリ物語」の第2幕が始まることを期待し、また皆さんからのお宝写真が届けられることを願っています。

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