大絵馬に「豊饒楽所」描く/井手町・髙神社
大絵馬に描いた文字は一部がハート形になっている

井手町多賀天王山の髙神社(山本光則宮司)で22日、新年を寿ぐ四字熟語を描く大絵馬の奉納が行われた。デザイナーで、アーティストとしても活動するリキューさん=大阪市西成区=が社務所を訪れ、用意された空白の大きな絵馬板に山本宮司が選んだ「豊饒楽所」の4文字を描いた。
文字は、本殿屋根の葺き替え工事に伴う学術調査で見つかった元禄16年(1703年)の墨書「奉造立庄内武運長久万民豊饒楽所」から山本宮司が選び取った。既存の四字熟語には無いといい「全員が豊かな気持ちで楽しむ場所という意味では」と話した。文字は昨年まで地元の多賀小学校の児童たちが創作四字熟語を考えるなどしてきたが、今年はコロナ禍の影響で行うことができなかった。
リキューさんは「象形文字には意味があり、意味には心がある」と、一部をハート形に変えた漢字を絵として描き続けてきた。趣味のサイクリングが縁で山本宮司と懇意になり、2011年から毎年同神社の大絵馬を描いている。
「豊饒楽所」も、1文字1箇所以上がハートに。「四文字はバランスが難しい。勢いも大切」と話しながら、みるみるうちに描き上げた。描いた大絵馬は年末、舞殿に安置され、来年の末まで1年間、誰でも見ることができる。
リキューさんはまた、新年の参拝者に授与される絵馬50枚も制作。ハートを含んだ漢字1文字を描いており、同じ字は1枚もない。絵馬は袋に封入され、開けて初めて、どんな字が入っているか分かる。例年用意するもので、山本宮司は「おみくじのような気持ちで求める人も増えてきた」と顔をほころばせた。