コロナ退散へビシバシ「縁たたき」/宇治田原町高尾

宇治田原町の山間部・高尾地区に伝わる小正月行事『縁たたき』が14日、古式にのっとり執り行われた。
これは当地・阿弥陀寺本堂に安置されている薬師如来像の御開帳日に合わせて年1回、行われているもので、寺の縁側に置かれた足場板に長さ約1㍍の青竹を力いっぱい叩き付け、次々と割っていった。【写真】
荒行を好んだという「お薬師さん」を喜ばせ、集落からの病魔退散を願ってもらおう―というのが事の起こり…と伝えられており、女人禁制というのが習わし。
今年はコロナ禍を受けて「体感ツアー」等の見学者はなかったが、地元から植村良信区長、植村典義総代会長をはじめ6人が集まり、境内では、本山である宝国寺の登田良樹住職が意念と呼ばれる無言の読経。
約30分にわたって「ビシッ、バシ」という激しい音が山里に響き、終了を告げる鐘が鳴ると一層、大きな音で最後のひと割り。男衆にとっては手足も痛くなる『行』となった。
また、欠席の場合は、委任状の代わりに、お賽銭を包んだ和紙を出すのも習わし。これが〝数とり〟となり、出席者と合わせ世帯数に合うと儀式が始まる。
そして最後は木の先を割り、そこに仏の使いと伝わる牛王と阿弥陀教寺の文字に法印がついた「お札」を挟んで授与。高尾地区全12世帯の玄関先などに1年間奉られる。

■空き家に移住の大学生の姿も

さて、この「縁たたき」に今年は若者の姿があった。
高尾地区の空き家を借り、4日に大阪から移り住んできたばかりの高橋一樹さん(24)。
京田辺市の同志社大学理工学部に通う4回生で、郷土の風習などを学ぶグループに所属しているという。
当面、3月末まで高尾住民として山里暮らしをするといい、この日は興味津々で青竹を握り締めた。
「和歌山出身ですが、地元の伝統行事には、ほとんど参加したことがなく、とても良い経験ができました」と話した高橋さん。
「コロナウイルスの追い払い、コロナに対する人々の恐れ消滅を願いながら、板を叩きました」と微笑んだ。