府内初「Live119」稼働/京田辺市消防本部・署
仮想の事故現場からスマホで送られた映像を映し出す

京田辺市消防本部(大冨育寅消防長)は利便と実用性が高まるスマートフォンでの「Live119映像転送システム」の稼働を始めた。府内自治体で初となる取り組みは、万一の際に音声に加えて現場のリアルな動画を送信でき、消防署から応急手当のハウツーを通報者に動画で知らせることも可能となる。緊急時のやり取りをスムーズに、さらなる救命率向上に期待が高まる。
京田辺市と井手町・宇治田原町の1市2町を管轄する同本部と京田辺市消防署(北畑光男署長)では昨年12月1日、府内初となる「Live119」のシステム導入と運用を始めた。
通報者がスマホを通じて119番通報する際、現場の状況を音声に加えて動画でも伝えることができるシステムで、アプリの事前インストールの必要もなく、ビデオ通話が可能となる。
通報を受けた消防通信司令室はショートメールで専用のワンタイムURL(ホームページのアドレス)を通報者に送り、そのURLからウェブサイトにアクセスした通報者(救急現場)と通信指令室がビデオ通話でつながり、映像を共有しながらのコミュニケーションを実現させる。

通報者も映像を受け取ることができる

通報者と通信指令室の双方が目にする画面では、マイクが音声を拾えているかを視覚に知らせ、文字(スクリプト)を打ち出すことで音が聞こえない状況にも対応。位置表示やストリートビューといった機能も活用できる。
市消防では「これまでは音声のみの通報で、詳しい様子を伝えるのが困難なこともあった。このシステムで災害現場の動画を通信指令室に送ることができ、より正確な情報がリアルタイムに伝わる」と今後の活用に期待を寄せる。
また、通信指令室から通報者に送信することも可能で、心肺蘇生法やAEDの取り扱い方法の動画を視聴しながらの、分かりやすく的確な応急手当の指導も可能となり、救命率向上へ望みが増す。
市消防署通信指令室で行われたデモンストレーションでは、現場から送られてきた事故車内部の映像が大型ビジョンに映し出され、応急手当の手順をひも解いた動画をスマホで見られることも確認。現場で撮影された動画は自動録画され、24時間後に自動削除されるという。