活気付く「エール交換プロジェクト」/京田辺の児童と同志社大生
レターボックスに届いた学生との「エール交換」ノートに笑顔あふれる児童たち

京田辺キャンパスに構える同志社大学ボランティア支援室を軸にした地元児童と学生の「エール交換プロジェクト」が盛り上がりを見せている。夏休みスタートで、好評につき当初の予定を延ばしてそれぞれが思いを綴ったノートの交換を続けた。コロナ禍、孤独に苛まれそうな心身を伸びやかに解放し、暮らしぶりを伝えた子供たちはお兄さんらの生活にも触れ、胸のうちにある夢や希望を膨らませている。
同志社大学学生支援機構学生支援センターボランティア支援室=京田辺市多々羅=は昨年、夏休みを迎える地元児童たちに「大学生のおにいさん、おねえさんと、夏休みの間、交換ノートしませんか?日記のように書いたり、絵を描いたり、聞きたいことを質問したり、楽しくやり取りしてね☆」と参加を募った。
コロナ禍で外出機会が減る中、交流を深める取り組みは、今出川キャンパスで先行実施し、同じく上京区にある中立・待賢学区の高齢者と学生の「エール交換」は6月に開始。同区と民生委ら協力のもと60~80代11人が学生とレターやノートをやり取りし、好評を得た。
京田辺でも同支援室が準備を進め、交通の便がよくノートの受け渡しにふさわしい場を求めるスタッフの呼び掛けに市社協が応じた。事務局を置く市立社会福祉センター=興戸犬伏=1階にある登録団体などに割り振ったレターボックスの空きを人数分借り受けることができた。
自粛期間中、人と人のつながりを絶やさないよう―と始まった「エール交歓」には京田辺市内在住6組7人の児童が参加。毎週月曜に大学生が書き上げたノートがレターボックスまで届けられ、取り出した児童がその次を書いて次週月曜にボックスまで届け、大学側がピックアップする流れ。週替わりで、身の回りに起きたことや頭をよぎったことなどを自由に綴り、日に日に心の距離を縮める。要望する声を受け、夏休みでやめず年明けまで続けている。

■心の成長促す交換ノート

普賢寺小学校5年生の𠮷髙和音くんは「やってよかった。これがきっかけで人と交流するのが楽しくなってきた。学校でもたくさん文を書けるようになった」、同5年の德廣俊介くんは「(自分も学生もプレーする)ハンドボールやカードゲームの話、学生がバイトの経験で得たことを教えてもらった」、弟の壮真くん(同3年)は「ゴミ出しと洗濯物を干し、畳むなどのおうちの手伝い、サッカーの話などをしている」と声を弾ませる。德廣兄弟の母・直子さんも「学生から届いたノートをむさぼるように読んでいる。内面がつながるツールだと思う。親子の学びにもなる」と好感を抱く。
一方の学生は、院生1人をはじめ2~4年生の合計8人が参加。いずれもペンネームを使い、自己紹介から始まったエール交換を楽しんでいる様子という。市社協の笹山典孝主事は「遅い時間でも受け取りできる」と継続して取り組みをサポート。昨春の一斉休校時から企画を考えたという同支援室ボランティアコーディネーターの竹村光世さんは「地元児童と大学生の接点を増やしたかった。初めて社協と連携できたのもよかった。つながりを続けていきたい」と強調する。
先月末で一旦終了するも、今後の継続を予定。感染症の状況を見てリアルな対面と交流会も検討している。