新たに古墳7基検出/城陽・芝山古墳群
丘陵地上部でも新たに古墳が築造されたことが判明した発掘現場

京都府埋蔵文化財調査研究センターは24日、城陽市富野中ノ芝の芝山遺跡・芝山古墳群で「新たに古墳時代後期の円墳7基を検出。府内3例目、南山城では初となる蛇行剣などが出土した」と発表した。新名神高速道路の建設に伴い、2015年度から6年がかりで進められてきた同古墳群の発掘調査は今年度で終了。古墳時代から奈良時代にかけて「現場の丘陵地で古墳や集落がどう築造されてきたか…貴重な知見を得ることができた」としている。
今回の第20、21次調査は昨年4月から今月24日まで芝山古墳群中央部の丘陵地3カ所で実施された。
この地には、古墳時代前期末に築造された「梅の子塚古墳1・2号墳」があり、それより低い場所に古墳が築造される傾向にあったが、今回の調査では、古墳時代後期に別集団が築造したとみられる円墳が、同じ高さの丘陵地に築造されていることが分かった。
また、梅の子塚古墳南側のトレンチ(調査地)からは、府内で3例目、南山城では初めて鉄製の「蛇行剣(だこうけん)」が2本出土。長さは83㌢と63㌢でいずれも木棺内に入れられ、実用品ではないものとみられる。
府埋文センターでは、すぐに錆止め処理を行って保存。「複数見つかるのは、全国的にも珍しい」としている。

出土した中国製の銅鏡「舶載方格規矩八禽鏡」

さらに、別の調査地からは中国製の銅鏡「舶載方格規矩八禽鏡(はくさいほうかくきくはちきんきょう)」の破片が見つかった。直径16㌢に復元でき、幾何学模様と鳥の絵が描かれ、その内側に「午・未・申・酉」の漢字が記され、魏の時代に製造されたものとみられる。
そのほか、調査地からは時代を経て、奈良時代に築造されたとみられる掘立柱建物8棟を検出。これら建物は4群に分かれ、時期差も示しているが、いずれも小型で一般的な住居と推定できる。
芝山古墳群の特徴としては、南山城地域では古墳時代に入ると、横穴式石室を用いる古墳が増える傾向にあるが、久津川古墳群同様に、地面を掘って直接、棺を納める伝統的な埋葬方法が取られていることも判明した。
最後に、調査地内には、推定道路状遺構(北陸道・足利説)が通っているが、8世紀前半に北向きの「駅家(うまや)」と推定される建物群が建てられたが、その廃絶以降は、建物の向きが西に傾いていくことも分かった。
なお、新型コロナウイルス感染防止のため、今回は、市民向けの現地説明会は行われない。その代替えとして、府埋文センターのホームページで発掘成果を説明する資料を公開するという。詳しくは同センター℡075‐933‐3877まで。