特産「淀苗」出荷へ着々/久御山
繊細な手作業で接ぎ木された淀苗を並べる女性たち

久御山町の藤和田・北川顔地区で、接(つ)ぎ木した野菜苗の出荷準備が始まった。「淀苗」として全国に知られる特産品で、育苗農家が作業に励んでいる。
接ぎ木は、耐病性のある台木に野菜苗の穂木をつなぐことで丈夫な苗をつくる。台木と穂木がぴったり合わさるよう、きれいに断面を切る熟練の技が求められる。
両地区はかつて木津川の流路で水はけの良い砂質土に恵まれ、根を伸ばしやすい苗づくりが始まった。室町時代から550年の伝統を誇る。
北藤育苗組合長の福田和久さん(51)=北川顔=の苗場では、地元の女性たちがカミソリを使って台木に切り込みを入れ、鋭角にした穂木の切り口と合わせてキャップなどでとめていく繊細な手仕事を続ける。今シーズンは平年より昼間の気温が高かったため生長が1週間から10日ほど早かったが、寒さの戻りに注意を払う。
淀苗はナス、キュウリ、トマトなど様々。間もなく出荷作業のピークを迎え、福田さんの福田育苗園では、ゴールデンウイーク終盤までのシーズン中に約20万本を出荷する見込み。