新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が続く中、昨シーズン来の市場価格下落などマイナス要素が覆う地元の茶業界。特産品のリーフティーはコロナ以前から消費が低迷しており、コロナ禍が追い打ちを掛けた。時は爽やかな新茶シーズンへ。打開策を探しあぐねる生産者たちは新茶収穫に汗を流すほか、消費拡大に向けた効果的なアピールの方法を見出そうと懸命だ。
地元が誇る特産品の宇治茶は800年の歴史を持つ全国に名を馳せるブランド。宇治市をはじめ近隣市町でも古来、茶業にかかわる事業所、機関などを含む数多くの人々が、近年は家庭を中心に「急須で淹れる」お茶文化の衰弱や、消費低迷の傾向に頭を悩ませてきた。
もうすっかりと感染禍に突入していたちょうど1年前の新茶シーズン。生産や販売、流通において他と同様、大きなダメージを受け、右肩下がりの価格と膨らむ在庫に憂鬱な生産者、問屋の姿があった。
昨年度、各市町の代表茶種の荒茶生産量・金額(カッコ内は前年度)は▽宇治市の碾茶(一番茶)約34㌧(約34㌧)、約4億1200万円(約4億1100万円)▽宇治市の玉露約9・2㌧(約11・5㌧)、約7400万円(約9200万円)▽城陽市の碾茶(一番茶)約33㌧(約33㌧)、約2億9500万円(約3億2800万円)▽京田辺市の玉露約9㌧(約10㌧)、約1億800万円(約1億4600万円)▽宇治田原町の玉露約86㌧(約91㌧)、約2億6900万円(約3億3300万円)など、いずれも前年より弱含みとなった。
京田辺市の玉露をさらに遡ってみれば、2010(平成22)年の生産量約17㌧、生産金額約2億3400万円だった。
さらに、京田辺市の茶生産農家の戸数の推移を見ると、03年137戸、10年68戸、19年43戸、20年36戸と年々減っており、このうち経営面積別では151~200㌃の規模で03年1戸から21年4戸と増えたのに対し、100㌃以下の生産家は136戸から32戸へと急減し、100戸以上がなくなっている。
こうした背景をベースに訪れたコロナ禍で流通は滞り、「昨年の茶がまだ倉庫にある…」と嘆き節も聞かれる一方で迎えた産地の新芽まばゆい八十八夜。茶に含まれるカテキンのウイルス抑制効果の検証も進められる中、消費拡大のアピールに再び努めている。
JA京都やましろ農業協同組合京田辺茶業部会と京田辺玉露生産組合は「お茶を飲んでコロナを乗り越えよう!!」と書いた啓発看板を市内6カ所に設置。茶業部会の山﨑安喜男部会長=草内=は「コロナで茶生産価格と量のいずれもコロナ以前より低迷を続け、ダメ押しのよう。生産農家の高齢化、後継者不足と取り囲む環境は厳しい。カテキン効果は大学、研究所で検証されつつある。『お茶を飲んでコロナを乗り越えよう!!』のキャッチフレーズのもと、玉露のまち京田辺の茶農家は少しでも消費拡大、今後の収穫を願っている」と声を強めた。