府内初、災害連携協定を締結/久御山町と日産グループ

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久御山町と日産自動車㈱=神奈川県横浜市=、京都日産自動車㈱=京都市南区=、専門学校日産京都自動車大学校=同町林八幡講=の4者は22日、電気自動車(EV)を活用した災害連携協定を結んだ。その締結式が役場議会棟4階特別会議室で行われた。町と日産グループが防災力強化と脱炭素社会に向けて連携する。府内では初、大学校も加入した締結は全国初となる。
環境・防災対策やSDGsを積極的に推進する町。二酸化炭素排出量ゼロの電気自動車の普及により地域課題の解決を目指す「日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』」に2018年から取り組み、全国の自治体や企業などと連携協定を結んできた同グループ。今回、双方の思惑が一致した。
この協定により町は、自然災害で大規模な停電が発生した場合や、その恐れがある場合に貸与を要請。京都日産の店舗と同大学校から計3台の電気自動車(日産リーフ)と充電スタンドを借用し、指定避難所などでの電力源にすることで、町民の生活を守る。貸与期間は原則1週間。同グループは貸与の台数や期間については、実際の災害状況に応じて町と協議し対応するとしている。
この日の締結式には、町から信貴康孝町長ら4人、日産自動車㈱からは神田昌明理事ら4人、京都日産自動車㈱からは奥田俊彦代表取締役社長ら6人、専門学校日産京都自動車大学校から鳥井英雄教頭ら3人が出席。4者が協定書に署名し、同グループにとって146件目の協定が結ばれた。
信貴町長は「いつ起こるかわからない災害に不安は高まっている。この協定により、不慣れな避難所生活を余儀なくされる住民に少しでも良好な環境を提供できる。安心・安全につながり心強い」と感謝の言葉を述べた。
神田理事は「2019年9月、台風15号が千葉県房総半島に甚大な被害を与えた時、53台の日産リーフが非常用電源として初めて避難所で給電した。人々を勇気づけることができた。今後は4者がさらに連携を深め、EVを活用した様々な取り組みを進めていきたい」とし、京都日産の奥田社長は「いつ起こるわからない災害には事前の備えが大事。EVは移動手段だけでなく『走る蓄電池』として重要な役割を担える。地元企業として貢献したい」と、EVの有用性に自信を見せた。また、大学校の鳥井教頭は「学校を挙げて協力する。重要な電源スポットとして活用してもらえるよう準備する。今後も地元久御山町とタッグを組んでエンジニアの育成に努めたい」と、田中篤司校長の挨拶を代読した。
町と同グループはこの締結を機に、EVを活用した環境に優しく災害に強いまちづくりを推進するとともに、過疎などの地域課題解決やSDGs達成に向け連携を深める。

■町の公用車で電力供給デモ

町の公用車リーフを使った給電デモ

締結式後には役場庁舎玄関脇で、給電デモンストレーションが行われた。町が導入したリーフを使って、家電に電力を供給する様子を役場関係者や報道陣に公開した。
デモは日産自動車㈱日本事業広報渉外部課長代理の石田則子さんが進行。リーフを電力源とし、直流電流をパワーコンディショナー(変換器)を介して交流電流に変換。スマホや扇風機、テレビなどに通電した。
町のリーフは40㌔Whのバッテリーを搭載。一日の消費電力が10~12㌔Wとされる一般家庭であれば約4日間、停電時に電力を供給することができるという。

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