著名亭主の呈茶と語り/萬福寺で「プレミアム大茶会」
参席者へ気さくに語りかけながら呈茶した𠮷田利一さん

山城地域の著名な茶生産家や茶商が、とっておきの茶葉と、最高の淹れ方で開く「プレミアム大茶会」(お茶の京都DMO主催)が21日、黄檗山萬福寺で2年ぶりに開かれた。
煎茶を日本に伝えた隠元禅師ゆかりの萬福寺。境内に設けた7つの会場は、そのほとんどが一般非公開だという。この日限りのプレミアム茶会に、宇治茶の伝統を今に引き継ぐ14人の茶師が集結。事前申込み制としていたが、予約が順調で、開催の5日前には満員御礼になったという。
このうち、宇治市小倉町で茶生産に携わる𠮷田利一さん(丸利𠮷田銘茶園園主)は、庭を望む東方丈で玉露を呈茶。伝統的なよしずを利用した覆下製法により、製茶を手掛けている。
今回準備した茶葉は、製茶した葉を10年間冷蔵保存したという類まれな逸品。45年以上にわたり茶生産一筋の𠮷田さんによると「老香(ひねか)の時期を過ぎると品質が安定してくる。古茶と言わず熟成茶と呼びたい」と笑顔だった。
おいしい淹れ方は?の問いに、𠮷田さんが「玉露は人肌くらいに温めた湯をひたひたくらいに注ぐ。誰でも大丈夫。高価な茶葉だが…ケチらずにたっぷり使うのがコツ」と話すと「それが一番難しいですね」と笑いも。親しい雰囲気の中、参加者全員が深奥な味を堪能した。
プレミアム大茶会の模様は、サテライト会場の「茶づな」前、屋外エントランス広場で生中継され、散策に来た人たちが映像を通して宇治茶の伝統に触れた。同所では特選宇治玉露のふるまいや、エリア市町村のブース出展があった。