城陽に日本初、IC直結「物流拠点」/自動運転隊列走行、視野に
新名神IC直結「次世代基幹物流施設」の開発に期待を寄せる奥田市長と西脇知事

3年後の2024(令和6)年度の新名神高速道路「大津~城陽」開通を前に、城陽市東部丘陵地「青谷先行整備地区」(約41㌶)の一部に、国家プロジェクトである自動運転による後続車無人「隊列走行」を見越した民間企業による基幹物流施設整備が決定した。3日、西脇隆俊府知事と奥田敏晴城陽市長が揃って府庁で会見を開き「東部丘陵地(中間エリア)整備への大きな推進力になる」と期待感を示した。この一大物流拠点の竣工は26(令和8)年を目標とし、1500人の雇用を見込む。
高速道路から一般道に降りることなく、インターチェンジ直結でトラック等が出入りできる基幹物流施設の整備が明らかになったのは、日本でも初めて。
その背景には、国交省所管の検討会が2019(令和元)年に発表した「新しい物流施設に対応した高速道路インフラの活用の方向性・中間とりまとめ」がある。
それを受け、同省は新東名・新名神の沿線3カ所である神奈川県海老名市、愛知県豊田市と地元・城陽市の各ジャンクション周辺を候補地として一大物流拠点を設ける計画だ。

東部丘陵地「青谷先行整備地区」に計画される一大物流拠点のイメージパース(三菱地所㈱提供)

これを好機として、長池先行整備地区でもグループ会社が府内初のアウトレットモール整備を進めている三菱地所㈱が青谷先行整備地区の一部約12㌶【A街区】で、延べ床面積約28万平方㍍の基幹物流施設を整備する計画を打ち出した。
同社はこの日、ホームページ上でも「新名神高速道路の宇治田原IC(仮称)より、基幹物流施設に直結した専用ランプを設けることで完全自動運転トラックや後続車無人隊列走行の受け入れを可能」などと計画概要を公表した。同社は青谷先行整備地区全体41㌶を民間施行で土地区画整理事業を行う予定。
一方、すでに市東部丘陵地まちづくり条例に基づく「開発基本計画」を提出し、地元説明会も開催した城陽東部開発有限責任事業組合=組合員・大成開発㈱、㈱エスディックと伊藤忠商事㈱は、隣接する8㌶【B街区】で、延べ床面積約19万平方㍍の基幹物流施設を整備。計画によると、同組合と伊藤忠商事㈱が用地の基盤整備(造成工事)を担当し、東急不動産㈱が次世代物流拠点(建物)の建築を担当するという。
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3日、府庁で開かれた会見で西脇知事は「アウトレットに続き、東部丘陵地(中間エリア)整備の大きな推進力となる。(国の)正式決定ではないが、隊列走行に向けた自動運転を視野に入れ、先を見越した対応も必要。府南部地域だけでなく、関西圏の物流拠点となる」と期待感を示した。
また、奥田市長も「本市の東部丘陵地には、新名神に隣接した東西4㌔の広大な開発可能な土地がある。その両翼で(アウトレットと一大物流拠点の)ビッグプロジェクトが展開されることで、残る中間エリアのまちづくり推進に大きな原動力となる」と述べ、府南部地域の産業活性化、地域雇用の確保に寄与する計画であることを強調した。

■トラック隊列走行
先頭車のみ人が運転し、後続車は自動運転で追随させるトラックの「隊列走行」は運転手不足の解消と、物流コスト削減を狙いとする。
政府は、このシステムを実用化し、新東名・新名神で「東京~大阪」間を結ぶ方針。国交省は、新東名・新名神全線で6車線化が完了した後、上下線で『隊列走行』専用レーンを設けることも検討している。