「平和」心に抱き散華/平等院「関白忌」
本尊阿弥陀如来像坐像の前で法要が営まれた

世界遺産の平等院で2日、創建者の関白・藤原頼通の忌日をしのぶ第949回「関白忌」が国宝の鳳凰堂で厳かに営まれた。
頼通の命日の承保元(1074)年2月2日の旧暦に近い3月2日に開いている年忌法要で、鳳凰堂の堂内で行われる唯一の行事。山城地方に春を呼ぶ行事として親しまれている。
この日は、宗派を超えた旧宇治町の寺院でつくる宇治組仏教会の僧侶およそ15人と、松村淳子宇治市長ら来賓が列席した。近年、同法要は、鳳凰堂内に足場があったことなどから院内僧侶だけで営まれており、院外の僧侶や来賓を迎えるのは5年ぶりという。
また、今年は平等院開基970年に当たる。そのため、江戸時代に彫られた同院所蔵の木版を用いて10種の供養天を刷り上げ、散華し、記念奉賛とした。
法要後、導師を務めた神居文彰住職は挨拶に立ち、ロシアのウクライナ侵攻やコロナ禍を念頭に、散華した様々な表情の供養天も思い返しながら、「人は違っていい。違うものが集まり、世界を作っている。祈り・願い・誓いは、実行の力になる。来年以降も皆さんがここに集まり、新しい形での平和が実現できますことを」と願った。