宇治抹茶の美味 極まれり/丸久小山園 パリの品評会で最優秀賞
トロフィーを手にする㈱丸久小山園の小山元也取締役

フランスのユーロ・ジャパン・クロッシングが主催し、在仏日本大使館やJETROパリ事務所、日本茶インストラクター協会などが後援する茶のコンクール「日本ティーセレクションパリ」抹茶の部で、㈱丸久小山園=宇治市小倉町=の出品茶が栄えあるグランプリ(最優秀賞)に輝いた。前回は堀井七茗園の抹茶「プレミアム成里乃」が同賞を獲得しており、昨年に続いて宇治抹茶の伝統が冴える受賞となった。
今回で5回目となったコンクールには▽煎茶普通蒸し▽煎茶深蒸し▽玉緑茶▽玉露▽抹茶▽その他の6部門に、合計で108団体238茶の応募があった。京都府からは延べ15団体が受賞した。

「極長安」グランプリ発表の画面(コンクール主催者のYouTubeより)

抹茶の応募は25点。昨年10~11月の審査で金賞と銀賞を決定。㈱丸久小山園の2茶は両方とも金賞に選ばれた。さらに今年1月、金賞の中から各部門のグランプリ1点を選出。抹茶の部で「極長安(きわみちょうあん)」が頂点に立った。
抹茶の原料である碾(てん)茶については国内の品評会で高い評価を受ける同社。大臣賞など幾多の実績を誇り、最近では2020年の全国茶品評会で1位を獲得している。

本社工場の様子。電動式の石臼がズラリと並ぶ

自社の工場にある電動式石臼は、代々伝わる物を改良した機械。臼の上部でなく下部にモーターを設置することで衛生的に生産し、適切な空調管理を行う。コロナ前は、海外から工場見学に来る茶愛好家が多くみられたという。
エントリーは今回が2回目。審査員が全員フランス人であることを考慮し、タイプの異なる抹茶を製作。新鮮な色味を重視した「極長安」と、うま味にウェイトを置いた「隣交」の2品種で再挑戦した。
代表取締役の小山元也さん(45)は「極長安が選ばれたのは、予想どおりでした」と微笑む。被覆栽培の過程で生じる独特の香りが人によっては生臭く感じられるように、味の評価は審査員の主観や土地柄に左右される一方、色味の違いは誰にでも分かりやすいことが理由の一つだという。
年内の審査では「口当たりは素晴らしく、エネルギーに満ち溢れている。香りはかなり純粋でバランスが取れていて、ドライフルーツ(ヘーゼルナッツやフレッシュアーモンド)と非常に風通しの良い海の香りがとても美しい」との講評があり、いかにも「文学的な感じでフランスらしい」評価だった。
今回の受賞について、小山さんは「日本食ブームと同時に日本茶も注目されるようになっている。味をリセットする意味で、チーズに日本茶が合うと聞いたことがある。審査委員長は国際的に有名なシェフ。確かな目で選んでいただいたように思う」と話していた。