世界ボクシング評議会（ＷＢＣ）ライトフライ級１位で元王者・寺地拳四朗（30）＝ＢＭＢ・城陽市出身＝が、前回敗れた同級チャンピオン・矢吹正道（29）＝緑＝とのタイトルマッチ（19日・京都市体育館）で３回ＴＫＯ勝ち。かつて８度防衛した世界のベルトを取り返した。まさに圧勝リベンジ劇。試合後、拳四朗は「あ～よかった」とリング上で号泣。「最高です。新しい景色が見えました」と敗戦後、励ましを受けた元世界チャンプの長谷川穂積氏や地元のファンに感謝の言葉を発した。
日本ボクシング界では徳山昌守さん、亀田興毅さんと並び歴代６位タイという世界戦８度防衛を果たし、ライトフライ級では〝最強〟との評価もあった寺地だが、昨年９月の前回、矢吹との対戦で、まさかの敗戦。一時はボクシング界から身を引くことも考えたという。
ただ、試合後の映像を見た寺地陣営が「故意のバッティングがあったのではないか」とＪＢＣ（日本ボクシングコミッション）に質問状を提出。これらを考慮してＷＢＣが矢吹・寺地両者のダイレクト・リマッチを指令。疑惑、因縁を晴らすべく、この日は前回と同じ会場で半年ぶりの再戦となった。
この大一番に、地元・宇城久を中心とする拳四朗後援会のメンバーら多くの地元ファンが客席を埋め尽くし、拳四朗の復活勝利を後押し。
久々の青コーナー、挑戦者の立場でリングに上がった拳四朗。前回の敗戦を教訓に１回から積極的に前に出て、矢吹の強打を封印。タイミングよく左ジャブ、右ストレート、ボディ…を繰り出す本来の拳四朗スタイルを貫徹。よりアグレッシブな動きで完全に試合のペースを握った。
そして、３回１分11秒。早くもＫＯ勝ちのシーンが訪れる。拳四朗得意の右ストレートが矢吹に顔面にヒット。10カウント内に矢吹も懸命に立ち上がったが、レフリーが試合続行不能と判断し、拳四朗の王座奪還が決まった。
世界チャンプの座を取り戻した拳四朗はリングにうつぶせになって号泣。「うれしい」「よかった」を連呼。インタビューで冷静さを取り戻し、客席のファンに「ぼくのスタイルにびっくりしたでしょう」と投げ掛け、攻撃的ＮＥＷ拳四朗をアピールした。
今後については「強い相手としか（試合を）しない」と宣言。ライトフライ級で統一選に向かうのか、フライ級に上げて２階級制覇を目指すのか…は未定だが、いずれにしても、さらに強くなった拳四朗が見られることは間違いなし。
初の敗戦後、自らを励ましてくれた元世界王者・長谷川穂積氏や地元ファンに対し「勝ったら違う景色が見える…とは、これなんですね。最高です。ありがとうございました」と述べ、拳四朗お得意のＷピースも披露した。