優美な姿に平和の願い重ね/宇治・平等院の藤
薄紫のベールに鳳凰堂の朱が見え隠れする景色は、この季節ならでは

世界遺産・平等院で、鳳凰堂近くの藤棚の花房が18日、平均して長さ60~70センチ・5分咲きとなった。
境内に3カ所ある藤棚の1つ。花芽は、近年で最も多く付けた昨年の約2万房は下回るものの、約1万2000房が確認されている。
近年、開花が早まっており、23日(土)ごろから10日間程度が見ごろという。長さは1メートルほどになり、薄紫のベールに赤い鳳凰堂が見え隠れする。反対側を振り返り、寂とした観音堂との組み合わせも見応えがある。「どちらを見ても美しい」とは、神居文彰住職の言だ。
「宗教法人平等院の目的は、世界平和。争いをやめることを、世界中に発信したい。藤は1年を通じて手を掛ける。でも失うのは一瞬」。住職は、仏様の座す、美しく心安まる場所を守ることと、平和への祈りを重ねる。