プラごみ、関心高めて/久御山町シニア連 文化講演会
プラごみ問題について講演する原田准教授

久御山町のふれあい交流館「ゆうホール」で19日、町シニアクラブ連合会(惠達男会長)による「SDGs・地球環境文化講演会」が開かれた。会員約20人が、海を汚染しているプラスチックごみ(プラごみ)について関心を高めた。
講師は大阪商業大学公共部の原田禎夫准教授。「未来のために知っておきたい海とプラスチックの話」と題し、講演した。
海洋のプラスチック汚染は、陸から川を通じて流れた生活ごみが原因。紫外線などで細かく砕かれた5㍉以下の微小なマイクロプラスチック(微小プラ)は地球規模の問題となっており、海の生物に深刻な影響を及ぼしている。
30年後には海に漂うプラごみの重さが、海の魚全体の重さを上回るという衝撃的な研究報告があったことや、微小プラを食べた魚介類を介して人間も微小プラを摂取しており、人体への影響も懸念されていることなどを紹介した。
NPO法人プロジェクト保津川の代表も務める原田准教授は、海から離れた亀岡市で川のごみを減らすための活動を展開している。
60㌔離れた大阪湾へのごみ流出を防ぐことを狙いとするこの活動で、原田准教授はまずスマホアプリを開発し、一人ひとりがごみについて調べることで、当事者意識を持たせた。これにより河川清掃の輪が広がり、ごみは減少。だが、レジ袋とペットボトルは減らなかったという。
この状況を重く受け止めた亀岡市と市議会は、2018年12月に「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を発出。市民団体からの早期施行の要望もあり、21年1月に全国で初めてレジ袋の使用を禁止する条例が施行され、亀岡からレジ袋を提供する店が消えた。
同法人が毎年ゴールデンウイークに行っている清掃活動ではその効果が表れ、レジ袋の回収量が大幅に減少しているという。
一方でペットボトルは増えており、対策として、マイボトルに無料で給水できる場所を増やしたり、マイボトル対応のウオーターサーバーの設置を挙げた。
世界にはレジ袋の提供者に多額の罰金を科す国もあるなど、レジ袋禁止の動きが大きく進んでいるが、日本は遅れていることを問題視。亀岡での活動が他地域へ広がることを期待している。
原田准教授は最後に「プラごみ問題を解決する魔法みたいな方法はない。条例を作るのも大変。国の規制も必要だが、何よりも大切なのは一人ひとりが関心を高めること」と、声を大にした。