仮想コンビニで買い物トレ/城陽の障害者支援施設
仮想コンビニで買い物を楽しむ利用者ら

社会福祉法人青谷学園が運営する障害者支援施設「DO」(白樫孝施設長)=城陽市中芦原=の施設内に、本物そっくりの仮想コンビニ『DOWSON(ドゥーソン)』がオープンした。アフターコロナを見据え、知的なハンディを持つ利用者に「安心して買い物を」と白樫施設長をはじめ職員の熱い思いが込められた取り組み。14日から始まった買い物トレーニングでは、利用者が順番に〝来店〟して近年、複雑化しているレジでの受け答え方法をマスターしていた。
スーパーやコンビニでの買い物は、日常生活に欠かせないが、ここ最近は「ポイントカードはお持ちですか」「レジ袋は必要ですか」など店員から問い掛けがあるほか、キャッシュレスの時代を迎え「現金か」「カード払いか」も聞かれるようになるなど、高齢者はもちろん知的障害のある人は、買い物が難しい状況となっている。
そこで、これまでも機能回復に効果があるアートに力を入れ、利用者の創作活動を後押し、アーチストとコラボして文化パルク城陽などで展示会を開くなど積極的な取り組みを行ってきた障害者支援施設「DO」では、今年初めから施設内に仮想コンビニをオープンして、アフターコロナの時代に備え、知的障害を持つ利用者(入所31人・通所9人)にレジでの支払い等店員との応対をトレーニングしてもらうことにした。
そして14日、施設2階の作業指導室の一角(約40平方㍍)に本物そっくりの仮想コンビニ『DOWSON』がオープン。店舗内外の装飾はもちろん、お菓子・パン・飲料水・アイスクリーム・雑誌・新聞など約400点の商品パッケージが本物と見間違えるぐらいの出来栄えで揃え、袋などパーツはコピーして精巧に仕上げた。

難しくなったレジでの支払いは、店員に扮した職員が対応

施設の職員7人が「利用者に安心して買い物をしてほしい」との願いを込めて作り上げたと言い、今後も季節の商品などを補充していく考え。
初日のトレーニングでは、入所の利用者でつくる自治会の正副会長が来店。思い思いに好きな商品を買い物かごに入れて、職員扮するレジの店員に精算をお願いし「レジ袋は必要ですか」「支払いは現金か、カードどちらにしますか」などの質問に答えた。
白樫施設長は「スーパーで高齢者向きのスローレジが導入される動きにありますが、レジの数が少ないコンビニでは採用されるのは難しく、まだまだ知的障害のある人が安心して買い物ができる環境が整っていない。ここでトレーニングしてもらい、少しでも利用者が社会から取り残されないようにしたい」と、仮想コンビニに取り組んだ趣旨を説明。この報道を見た人に、障害者への理解が広がることを願っていた。