献茶祭で茶業発展を祈願/宇治の県神社
厳かに執り行われた茶壺口切りの儀式

宇治の県(あがた)神社(田鍬到一宮司)の本殿で5日、献茶祭が営まれた。茶道、茶業関係者ら約50人が参列し、さらなる精進を誓った。
県神社の献茶祭は、収穫に感謝し、茶道・茶業の発展を祈願しようと1967年から始まった。「茶家の正月」と言われる炉開きの11月に合わせ、毎年行われている。
神事では、茶師の入江宗輔さんが、入江一徳さんの介添えで、古儀にのっとり茶壷口切りの儀式を行った。初夏に摘んだ新茶を取り出し、石臼でひいて、濃緑鮮やかな抹茶に仕上げた。
仕上げた抹茶は藪内宗家家元の藪内紹智宗匠の奉仕により、神前に献上。祝詞に続いて参列者が玉串を奉納し、宇治茶と茶業、茶道の隆盛を祈願した。
式典後、コロナ禍で中止していた濃茶・薄茶・点心の拝服席が3年ぶりに設けられた。参加者たちは香り高い宇治茶を賞味し、秋の風情をかみ締めた。