【中川宗孝(環境生物研究会・城陽環境パートナーシップ会議)】

11月5日、文化パルク城陽において「第21回城陽環境フォーラム」が開催されました。コロナ禍の過去2年間、主催者の城陽パートナーシップ会議では、年間最大行事を中断させることなく、記念講演会のリモート配信で環境保護団体としての責を果たしてきましたが、今年は対面・対話の本来の通常形式での開催を決め、いよいよ本格始動への再出発となるイベントにスタッフ一同気を引き締めて取り組みました。
ナチュラリストのライフワークとするフィールド探査と共に、希少野生生物と生息環境保全の啓蒙活動の場となっているのがこれら自然観察会や研修会などの各種イベントでしたが、コロナの猛威でことごとく中止の憂き目の停滞が続いていました。やはり年間の最大目標として掲げてきた所属学会での研究成果の発表も、大会の中止やリモート開催に至ってその機会を失い、こうした活動の制約はこれまで喜々としてフィールドを駆け巡ってきた馬車馬生活をも一転させ、過去の資料の見直しや文献調査でかろうじてモチベーションを保ってきた経緯がありました。
ナチュラリストを冠とする筆者も、郷土の自然環境保全に役立つ調査資料の公表と自然観察会などの啓蒙活動がなければ単なるマニアでしかありません。コロナ鬱症候群の負の連鎖で、活動報告もままならなかったことを思うと、活動母体である城陽環境PS会議が3年ぶりに環境フォーラムを通常開催したことはコロナ終焉へのアドバルーンとなる朗報と喜んでいます。ナチュラリストの本格復帰と、ようやく本来の活動報告再開のきっかけとなる「第21回城陽市環境フォーラム」のフォトレポートをお届けします。
城陽市市制50周年記念事業として共催された今回のメインテーマ『カーボンニュートラルに向けて』は、昨年11月25日に開催されたリモート環境フォーラムで、奥田敏晴市長の「ゼロカーボンシティに挑戦!」の宣言を受けてのものです。とかく敬遠されがちな環境問題で、子どもたちの集客も期待できないと思われる中、ふるさと城陽市が環境先進都市として全国の模範となる取り組み実践への布石となるであろう大変意義深いイベントに関わり、自身でのエコ実践も再確認できた環境フォーラムでした。
記念講演会やパネルディスカッションの概要は城陽市とPS会議のHPや「パートナー通信」に譲り、ナチュラリストの担当する特設ブースの話題を中心に、多分に手前味噌な報告にお付き合い下さい。

◎希少猛禽類の特設ブース開設

まだまだコロナの心配もあって、積極的な動員もかけずに臨んだ環境フォーラムでは、新川達郎・同志社大学名誉教授を講師に迎えての記念講演会をメインに、京都府地球温暖化防止活動推進委員の古家野辰也氏に城陽PS会議の奥田禎爾・運営委員と共に、龍谷大学の竹林茜音さん・檜垣栞良さん、城陽高校の千馬大穀君たちフレッシュな面々をパネラーに迎えてのパネルディスカッションは大好評を博しました。奥田市長にPS会議大野会長・芦原副会長から環境先進都市・城陽の未来を託された若者たちの今後の活躍に期待しましょう。(写真➀②)
講演会場の市民プラザ後方に設定されているのが、自然部会が担当する食物連鎖の頂点に位置する鳥類の猛禽類をテーマにした展示ブースです。(写真③) ワシ・タカ・ハヤブサにフクロウの仲間たち計27種類に及ぶ写真は、野鳥カメラマンの山中十郎さん(写真④中)からPS会議に寄贈されたものです。そして、ひと際目をひく剝製の絶滅危惧種・ハチクマの標本(写真⑤)は、こうしたイベントなどでの有効活用を願って近藤清人剝製店さんから寄贈いただいたものです。
また、骨格標本と羽毛なども展示していますが、これらは将来鳥類研究者を目指す高校生・福井惇一君作製の資料です。来年度に日本鳥学会大会でのデビューを目指して猛禽類の調査に励む福井君の、6月の城陽環境PS会議総会・ミニフォーラムでのチョウゲンボウの研究発表に次ぐ第2弾、オオタカ編のポスター発表資料を今回のメインとして掲示しました。その傍らに添えられたオオタカの幼鳥の精密画は、福井君の観察記録の写真を題材に美大生のお姉ちゃん・梓乃さんが描いた作品があるとのことで特別にお借りして展示したものです。(写真⑥⑦)
PS会議では、これまでもコウノトリ・ひかりちゃんやケリにチョウゲンボウなどの特性絵はがきを作成して観察会などのイベントで配布してきましたが、今回も福井君撮影のオオタカの写真と共に、梓乃さんの精密画の作品も記念絵はがきに追加しています。(写真⑧)今年高校生となった千田真大君(写真⑨左)も、昨年に初撮影した野鳥がミラクル大発見!の幸運で記念絵はがきをゲットしています。
そして秀作環境ポスターが発端でパネラーに招聘された千馬大穀(同中)君、企画会議で高校生の登用を提案した筆者に、また将来が楽しみな人材がひとり加わりました。これら天賦の才に恵まれ幸運の女神に愛されし後継者を見守り育てることがロートルナチュラリストのお勤めと、やはりこの秋から復活した富野小学校の生き物のクラブ指導やジュニアメンバーたちとのミュージアム巡りで活力をもらって張り切っています。
イベント復活で久しくの活動報告も、手前味噌と言いながらもやはり最新・リアルタイムのホットなフィールドからの報告には比べるべくもありません。1日も早いコロナ終焉宣言で、ナチュラリストの日常が戻ってくることを祈って下さい。