今年開館30周年を迎えた宇治市立東宇治図書館(松本恵館長)は9日、記念講演会「東宇治ちょっと散歩」を開催した。約30人の参加者が、東宇治の豊かな文化財をテーマに、地域の歴史と文化を学んだ。
講師は、(一財)宇治市文化財愛護協会の𠮷水利明理事長。
𠮷水さんは、東宇治を北から南へ散歩するように、多数の文化財を解説した。指定文化財の数では、宇治市内230件のところ、東宇治地区(山間部含む)が101件を占めるという。
〝散歩〟は、六地蔵からスタート。木幡、五ケ庄へと進み、萬福寺の文化財を詳しく解説。また、東宇治の主な古墳群も紹介。宇治川太閤堤跡の次に、近代小学校の建設と各図書館の開館を紹介して締めくくりとした。
この内、「木幡」の地名の由来では、コハタ=許(こ)の国の端、コワタ=強田(砂礫の多い不良耕地)など、4つの説があると解説。
萬福寺では、伽藍の構成は全体を龍に見立てていることをはじめ、400字詰め原稿用紙の元となった版木「鉄眼版一切経版木」が宝蔵院に収められていることなどを紹介。日本文化の一源泉がここにあることを示した。