50年ぶり「令和大修理」間近/城陽・荒見神社で本殿見学会
本殿屋根の葺き替えに向けた「檜皮止め付け作業」を見学する参加者たち

城陽市富野荒見田にある荒見神社(青山浩然宮司)で3日、桃山時代造営「三間社流造」が特長的な市内最大の神社建築・本殿=国重要文化財=の保存修理現場見学会が開かれた。
荒見神社はもともと長池の山中、五社ヶ谷で創建。1461(寛政2)年に現在地に遷座したと伝わる。
近世には、富野村の産土神とされ、天神社と称していた。
本殿は、透塀に囲まれ西面にして建つ三間社流造。建立年代は、棟札から1604(慶長9)年であり、虹梁絵様・木鼻・蟇股彫刻など細部意匠に時代の特色が現れ、桃山時代の本殿の典型例として近在の神社本殿の指標ともなった遺構とされている。

大勢の市民らが青山宮司から荒見神社の説明を受けた

この本殿は1906(明治39)年に国の重要文化財に指定。その後、18(大正7)年に解体修理、34(昭和9)年には室戸台風により本殿・拝殿とも破損、翌35(同10)年に災害復旧・解体修理が完了したが、50(昭和25)年に再び台風被害を受け復旧工事が施され、70(昭和45)年に本殿「屋根葺替・塗装修理」が行われた。
今回は、それ以来50年余りの歳月を経た「令和の本殿大修理」。昨年9月から今年12月まで総事業費8400万円をかけて檜皮屋根の葺き替えのほか、壁や柱など朱色の塗装の塗り替え、木部の補修、自動火災報知装置工事などが行われている。

職人による「檜皮の整形(皮切り)」作業の実演も

これを機に、市教委は「本殿の修理を、市民らに間近で見てもらおう」と参加者を公募して見学会を企画。40人定員を大きく上回る募集があったため、当日参加の62人を、3班に分けて「足場を使った本殿修理現場の見学」「青山宮司による神社の説明」「職人による檜皮の整形(皮切り)作業の実演見学」を行った。
それに先立ち、南部コミセン研修室では、府教育庁指導部文化財保護課建造物係の加藤由香副主査が「荒見神社本殿の特徴」について説明。参加者らは、予備知識を得た後、境内に移動し、熱心に本殿修理現場などを見学。宮大工や青山宮司らに富野地域(長池・西富野・東富野)の氏神さんについて質問していた。