怒りと落胆―25日夜から翌26日未明にかけて宇治田原町の神社複数で「社務所荒らし」があり、宮司・総代ら関係者は怒り心頭だ。バールのようなものやバーナーなどを使い、玄関の錠を破壊し侵入して金品を物色する犯行グループの一日も早い検挙を願っている。
本紙調べで、25日(木)夜から26日(金)にかけて社務所荒らしの被害に遭ったとみられるのは、斉田神社(郷之口紫坊)、大宮神社(荒木天皇)、雙栗天神社(岩山上田)、建藤神社(禅定寺建藤)、猿丸神社(禅定寺粽谷)の計5社。
このうち現時点で被害を確認しているのは斉田神社を除く4社。
関係者の話によると、はじめに被害に気付いたのは滋賀県境(大津市)に近い猿丸神社の岡兵庫宮司。
26日午前0時20分ごろ、セキュリティシステムの発報により現場に駆け付けた係員から岡宮司に異変が知らされた。
岡宮司が同社に到着した時には既に警官も着いていて、木とガラスでできた社務所玄関の錠部分がバーナーのようなもので焼かれ、破片などが床に散らばった状態。ところが、玄関内部の脇に置いてあった1000円に手は付けられていなかった。
警報音が鳴るとともに外側に備えつけられた赤色灯が回って、岡宮司は「驚いて、急ぎ逃げて行ったのではないか」とみている。
一方、同じく岡宮司の建藤神社でも錠は焼いてこじ開けられており、数部屋ある社務所内を土足で蹂躙した跡もくっきりと残っている。
ふすまを開け放し、金目のものを物色した様子がうかがわれるという。幸い、金銭や値段が張る物品は置いておらず、複数人の下足痕があった模様。「ひと通り棚や押し入れも開け、何かないかを見ている」と伝える。
明け方まで社務所にいて一旦帰宅後も再び午前7時ごろ戻った岡宮司は後片付けのほか、近隣の宮司らに連絡を取った。
同10時ごろ大宮神社に向かった五百磐顕一宮司はいかにも無残な、変わり果てた社務所の姿と遭遇。錠はこじ開けられ、夜陰に工具類や灯油を盗んだ犯行の様子がうかがわれた。
「こんなところにまで」と油をこぼした跡は数多く、手作りしたブックカバーの数々も破損。
今年2月、賽銭箱を破壊される事件も発生し、「まさかこんなことがまた起こるとは」とショックは大きい。
油、そして焼き切る…など、宮司2人ともに「火事になったらどうするのか。許せない」と憤慨する。
これらの神社は旧道沿いにつながる立地関係にあり、警報作動に慌てた犯人は、そこを最後に逃亡…したとも考えられる。敷地内の防犯カメラの映像には犯行に及んだ複数人が写っており、ヘルメットを被っている姿も散見されたという。
田辺署は、犯人の検挙に向けて捜査を進め、周辺の警戒を強める。