露店復活 12万人の熱気/宇治・あがた祭
大勢の見物客で賑わう宇治橋通り商店街

県通りでも露店が復活

初夏の宇治の風物詩として親しまれている県祭(あがたまつり)が5日から6日未明にかけて中宇治地域一帯で行われた。コロナ禍で中止していた露店が復活し、宇治橋通り、県通り、本町通りを中心に多くの住民や観光客で賑わい、人出は約12万人(宇治市観光協会発表)で、コロナ禍前の2019年(10万5000人)を上回る熱気に包まれた。

県神社での護摩焚き供養

県神社本殿では午後5時から大祭式の「夕御饌(みけ)の儀」が厳かに営まれ、護摩焚きの炎が境内に揺れた。
祭は木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)を祭神とする県神社の大祭として開かれている。商売繁盛や縁結びなどを祈願する祭りのルーツは近世・江戸時代とされる。

「この笛ふくや会」による演舞(県神社境内)

宇治橋通りや県通り、本町通りの三角形の通り(延長約2㌔)には、約360軒の露店、商店街を含め約400店が出店。浴衣姿で参加する人も多くみられ、祭りムードを盛り上げた。
夕方からは人出が増し、宇治署が特別体制を組んで雑踏警備や違法行為の未然防止に目を光らせた。宇治市消防本部も消防団と連携し、消防署員・団員を含む約100人態勢で特別警戒を実施した。

■厳かに神事 執り行う
江戸時代に、県神社の大祭として始まったとされる県祭。奉書紙を束ねて球状にした梵天は神霊の依り代と言われており、深夜の渡御の際は、周囲の家々が明かりを落として迎えるため、「暗闇の奇祭」と呼ばれている。
祭りのハイライトとなる梵天渡御は、かつて宇治神社御旅所を出発し、宇治橋西詰を経て、県神社で儀式を行い、御旅所に戻ってくるルートで行われていた。

県神社で厳かに執り行われた「朝御饌(あさみけ)の儀」

しかし、兵庫県や大阪府からの担ぎ手「県祭奉賛会」と県神社の関係がこじれ、2004年以降は分裂開催。今年は、県神社のみで梵天を奉納し、神事を執り行った。
この日の午前10時、県神社の拝殿で「朝御饌(あさみけ)の儀」が営まれた。午後5時からの「夕御饌(ゆうみけ)の儀」では、同神社総代や後援会「木の花会」、梵天渡御実行委員会、梵天講などの代表者らが参列した。
宇治神社御旅所では、花房義久宮司により「幣渡祭(へいとさい)」を営んだ。