健康を願い笑ってお灸/宇治田原・遍照院

宇治田原町奥山田岳谷の高野山真言宗「遍照院」で7日、ぼけ封じの「ほうろく灸」祈祷と米朝一門の落語会で脳の活性化も図ってもらう「笑いとお灸~どうする焙烙」が営まれ、本堂満員の参拝者が心身の健康を願った。
「本能寺の変」を知った徳川家康が「どうする」と命運をかけて本国三河への帰路に選んだ「伊賀越えの道」で、ひとときの休憩をとり、心を静めたと伝わるのが遍照院。
この日は、祈祷の前に落語会を開催し、まず桂塩鯛師匠の弟子・桂鯛蔵さん【写真】、続いて桂枝雀さん最後の弟子である桂紅雀さんが高座に上がり、脂が乗った一席で「笑い」の渦をつくった。
そのあと、読経に続き、参拝者らは配られたビワの葉を頭に乗せ、大日如来の梵字が書かれた焙烙を笠のようにかぶった。
檀家総代らも加わり、手分けをして焙烙の上にもぐさを乗せて火を付けると、もくもくと煙が立ち上った。
この「ほうろく灸」は霊場第十二番札所である岩間寺(いわまでら・滋賀県大津市)の九十九世・龍空大和上から授けられた秘伝に、遍照院の着想で薬草の王とされるビワの葉を加えたもの。もぐさの熱が、頭頂にあるツボ「百会」を刺激しつつ、ビワの葉の薬効も期待できるという。
読経が続く中、もぐさが落ちないように焙烙を支えながら、時には浮かせて熱さを調節しながら、心願成就を念じる人たち。
もぐさが約15分で燃え終わると、皆さん「スッとした表情」になり、記念の御朱印を受け取った。