立命館宇治、4年ぶり夏の甲子園へ/「宇治対決」制す
「うじ・うじ対決」の激闘を制し、歓喜に沸く立宇治ナイン

大会史上初めて宇治市内にある学校同士の対戦となった第105回『全国高等学校野球選手権・京都大会』の決勝戦は28日、わかさスタジアム京都で行われ、立命館宇治が7対6で京都翔英を下し、4年ぶり4回目の甲子園切符を手に入れた。全国選手権大会の組み合わせ抽選会は8月3日に行われ、同6日に開幕。17日間にわたる熱戦が繰り広げられる。
京都大会決勝は、球史に深く刻まれる大激闘となった。
先手を取ったのは7年ぶり2回目の優勝に執念を燃やす京都翔英。2回表、2アウトからエラーで得たチャンスで西山迅がタイムリーを放つが、立命館宇治は3回裏2アウトから内野安打と2HP(ヒットバイピッチ)で満塁とし、築山隆翔が逆転の一打。
すると翔英は直後の4回表、貝阿彌魁王の犠牲フライで同点とし、代打の門山洸太のツーベースで再逆転。5回表には「宇治のゴジラ」との異名を持つプロ注目のスラッガー小笠原蒼がスイング一閃、ライト芝生席への2ランで引き離した。
しかし、その裏、立宇治は神農翔多のヒットからチャンスを広げ、内野ゴロの間に1点を返して打席には稲葉康誠。豪快に振り抜いた打球はレフト芝生席への3ランで再々逆転弾となった。
このあとゲームはピンチの「しのぎ合い」。立宇治の2年生エース十川奨己が195㌢の長身から繰り出す角度のある速球とフォークで粘りに粘ると、翔英のリリーフ松山紘生は思い切ったバント処理でノーアウト2塁を切り抜ける。

同点とされて迎えた9回裏、築山隆翔の犠牲フライで歓喜のサヨナラ勝ち

緊迫感がMAXまで高まった最終回…翔英は2アウトの土壇場まで追い込まれるが、ここで古井康介がツーベースヒット。小笠原敬遠のあと橘田快晴の打球はイレギュラーバウンドを呼び、遂に同点。2塁ベース上では小笠原が感極まって涙を流す。
激戦にスタンドの目がグラウンドに釘付けとなる中、立宇治は9回裏、1アウト2塁から伊東航が右前ヒット。矢のような返球がライト長谷煌晟から放たれ、ランナーは3塁でストップ。翔英は満塁策をとらずに勝負。これに応えて振り抜く築山。打球はセンターへ高々と上がり犠飛となり決勝点をもぎ取った。
立宇治4年ぶり4回目の優勝。4年前の決勝戦(対京都国際)と同じ「サヨナラ勝ち」で歓喜の瞬間を迎えた。

▼立命館宇治高・里井祥吾監督
「いい試合をさせてもらった。勝ち越され、追いつかれても生徒がたくましく戦ってくれてうれしかった。最後はちょっとだけ運が良かった。大会を通じて塚本キャプテンがチームをまとめ、落ち着いて戦ってくれた。京都代表として全国大会でもしっかりと戦いたいので、あしたから猛練習です」
▼同・塚本遵平主将
「秋、春と苦しい思いをしてきて、この夏はチャレンジャーとしての気持ちを忘れず戦い抜きました。最後に結果が出て本当に良かったです。京都翔英はとても粘り強くプレーをされるチームなので、自分たちも最後まで諦めずに、やり切ろうとみんなと話して試合に臨みました。一人ひとりがチームのために一つずつプレーを重ねていく素晴らしいチームになったと思います」

■市役所PV、熱戦に拍手

9回の攻防に拍手を送る観衆

市では初の「うじ・うじ対決」を盛り上げようと、市役所1階で高校野球では初めてパブリックビューイング(PV)を実施した。約40席を用意し、市民が次々と訪れて観戦。市民交流ロビーのソファで熱戦の様子に見入る人も多かった。
特に9回の攻防は昼休みに入った市職員も大勢観戦。翔英の同点劇、立宇治のサヨナラ勝ちの瞬間は大きな声とともに拍手を送った。
試合を見届けた70代男性は「家から近い立宇治を応援していたが、どっちが勝っても宇治なので良かった。最高の試合だった」と両校球児の健闘を称えた。