古式ゆかしく茶壷口切り/4年ぶりに城陽茶まつり
茶壺口切りの儀を執り行う菊岡和晃さん

高級てん茶の産地を広くアピールする「城陽茶まつり」が15日、同市富野の荒見神社(青山浩然宮司)で4年ぶりに開かれた。2019年秋以来、新型コロナ感染拡大を懸念して開催が自粛されてきたが、ようやく秋の人気イベントが復活。第32回を数える茶まつりでは、『令和の大改修中』の本殿を眺めながら、境内で多くの来場者が古式ゆかしい茶壺口切りの儀に熱視線を注ぎ、至福の一服を堪能した。
城陽市茶生産組合(西村高典組合長)、城陽茶業青年団(古川真章団長)、市茶華道連盟(小幡佳子代表)の3団体でつくる実行委員会(委員長=西村組合長)の主催。これまで、全国茶品評会などで農林水産大臣賞や産地賞などの受賞歴を誇る日本一の「てん茶」の生産地・城陽を知らしめることを目的とする。

拝殿でお点前を披露する裏千家準教授・城土井恵(宗恵)さん

本殿改修中のため、仮本殿も据え付けられている荒見神社拝殿では、まず午前9時から城陽茶業青年団の菊岡和晃さん(49)が古式にのっとり「茶壺口切りの儀」を執り行った。
取り出されたお茶を用いた献茶式では、小森綺子(宗綺)さんの「半東(はんとう)」のもと、裏千家準教授の城土井恵(宗恵)さんがお点前を披露。青山宮司が香り高いお茶を仮本殿に捧げた後、西村委員長ら茶業関係者がもてなしを受けた。

境内の抹茶席では着物姿の女性らが丁寧におもてなし

前夜からの雨が上がった境内では、各種コーナーが幕開け。抹茶席では、茶道をたしなむ女性らが清楚な着物姿で席を巡り、茶菓子と薄茶を運んだ。
また、城陽茶業青年団員がアドバイスする煎茶のおいしい淹れ方教室もあり、点てたお茶を味わった来席者から「渋みがなく、おいしい」と感嘆の声も。城陽産抹茶を使ったスイーツの販売も人気を集め、社会福祉法人南山城学園が運営するカフェ「さぴゅいえ」=宇治市宇治蔭山=の利用者らが手掛けた城陽産てん茶使用の洋菓子『ブルードネージュ』も初めてお目見えした。

お茶のプロからおいしい淹れ方を教わる来場者ら

このほか、市三曲協会(長田正会長)による邦楽演奏もあり、境内は午後3時の閉幕まで優雅な雰囲気に包まれた。
西村実行委員長は「4年ぶりの開催で準備に手間取ることもありましたが、こうして高級てん茶を味わってもらえる場が再開できて良かったです」と、来秋以降の継続開催へ意欲を示していた。
なお、同実行委員会の集計では、この日の来場者は延べ1000人に上った。